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ジム知る
VOL.002
第2回:ジムニーの4WDシステムを理解する
第2回:ジムニーの4WDシステムを理解する

ジムニーの優れた走破性を支えているメカニズムのひとつが、パートタイム4WDと呼ばれる四駆機構です。現代の多くのクルマの中でも、このシステムを使っているモデルは少なくなりました。今回は、このシステムのメリット・デメリットについてお伝えしていきます。

(文/山崎友貴)

2WD↔4WDが自分の意思で切り替えられるシステム

クルマが採用している4WD(四駆)システムは、主に「パートタイム4WD」と「フルタイム4WD」に分けることができます。さらにフルタイム4WDには“アクティブトルクスプリットタイプ”“パッシブトルクスプリットタイプ”などがあります。またトヨタ・ランドクルーザーのように、フルタイム4WDでありながら、パートタイム4WDのような機構を備えているものがあります。フルタイム4WDについては、また機会を改めて説明しましょう。

さて、パートタイム4WDは、その名の通り、2WD(FR)にしたり、4WDにしたりと、自分の意思で切り替えをすることができます。一方、フルタイム4WDは、クルマ側が状態を判断して切り替えます。

パートタイム4WDには、2WD↔4WDの切り替えをするトランスファーという装置が付いていますが、ジムニーの場合はさらに変速比を低くする副変速機が備わっています。副変速機を4WD-Lにシフトすると、通常の1速よりも低いギアを選ぶことが可能になり、より大きな駆動力、牽引力を得ることが可能になるのです。

現代の感覚から考えれば、なぜフルタイム4WDではないのか? と感じると思いますが、それにはいくつか理由があります。まず第一の理由は、省燃費です。4WDは4つのタイヤに駆動力を伝えるため、駆動系のロスが大きくなり、燃費も悪くなってしまいます。ダートや雪道などでは、走行安定性や走破性のために4WDが有効ですが、晴れた日の一般道では過剰な性能になります。そこで、何も無駄な燃料を使うかことはないということで、舗装路を走行する時には2WDで走れるようにしたわけです。

舗装路を走る時に、2WDにできるようにしたのには、もうひとつ別な理由があります。それはパートタイム4WD独特の「タイトコーナーブレーキング現象」のせいです。

まず基本的な理屈を考えるために、左右2輪だけの状態を想像してみてください。2輪が左右どちらかに曲がろうとする場合、内側のタイヤが転がる距離と、外側のタイヤを転がる距離を比べると、当然外側のタイヤの方が多くの距離になります。これを「内輪差・外輪差」と言います。

さて、今度は駆動する(エンジンから力が伝わる)2輪で考えましょう。エンジンから駆動系を介して左右2輪に駆動力が伝わるわけですが、この力は50:50で配分されるため、同じ回転スピードで回ろうとします。しかし、そもそも2輪が曲がる場合は内輪差・外輪差という転がる距離の差があります。同じ回転速度で曲がろうとしても、内側のタイヤがブレーキになってしまい、外側のタイヤはギクシャクとした動きになってしまうのです。そこで、これを解消するために「デファレンシャルギア(差動装置)」を装備します。

しかし、前後輪が1本の駆動軸(プロペラシャフト)で直結状態になっているパートタイム4WDは、前後輪の間に発生する回転差は吸収できません。それゆえ、4WD状態で乾燥した舗装路などを走行すると、前身しようとする後輪に対して、前輪がブレーキとなってギクシャクとした動きになってしまうのです。これを『タイトコーナーブレーキング現象』と言います。

ちなみにこの現象は、路面の摩擦係数が低いオフロードや雪道では、適度にスリップしてしまうため、感じにくくなります。
フルタイム4WDの場合は、前後輪を結ぶ車軸上、もしくはその直前に差動装置を設けて、タイトコーナーブレーキング現象が起きないようになっています。

パートタイム4WDのメリットは高い走破性

パートタイム4WDの最大のメリットは、高い悪路走破性と牽引力です。前述の通り、パートタイム4WDは前後輪がプロペラシャフトで直結状態になっており、エンジンからの駆動力が4つのタイヤに均等に配分されるようできています。エンジンからの駆動力を100とすれば、各輪に25ずつ配分されます。

そのため、各輪は無駄のない安定したトラクションを発揮して、車体を前に進ませようとします。また4輪のうち、仮に1輪が空転しても、残りの75の力で前に進むことができます。しかし、4つのタイヤを上から見た時、対角線となる前後輪片側ずつが空転してしまうと、前後車軸にあるデファレンシャルギアの影響で、残りの2輪には駆動力が伝わらず、完全にスタック(クルマが動かなくなる状態)してしまいます。これを『対角線スタック』といいます。

しかし現行型ジムニーの場合は、この状態を事前に防止するため、「ブレーキLSDトラクションコントロール」という電子制御装置が付いています。これはトランスファーを“4H”にした時に利くもので、対角線上のタイヤ2輪が空転しだすと自動的にブレーキをかけて空転を止めるというシステム。4Lに入れた場合は、発進時だけ作動し、基本的には解除状態となります。

この装置は従来はフルタイム4WDに用いられていた電子デバイスですが、ジムニーがこれを備えたことで、オフロード経験が少ない人でも、高い走破性を維持しながら走ることができるようなりました。

話は少し逸れましたが、もうひとつのメリットは「4L(4WD LOW)」の存在です。前述の通り、2Hや4Hのギア比よりも低い4L。例えば、大きな石がゴロゴロ転がっているような道や凸凹地形、急な坂道、深い雪道など、より大きな駆動力が欲しいシーンにおいて、威力を発揮してくれます。

さらに重量のある他車を牽引するような場合も、4Lが威力を発揮します。同じエンジンの力でも低いギア比で変換するため、重いものを牽引することができるのです。かつてSNSで、大雪の中をジムニーが巨大なトレーラーを牽いている動画が公開され、巷で大きな話題を呼びました。

このように、自在に駆動を操ることで、様々シーンに対応できるパートタイム4WD。しかし、ジムニーが優れた悪路走破性を発揮できるのは、この4WDシステムの恩恵だけではありません。ジムニーが採用する、シャシー&サスペンション形式と組み合わさってこそと言えるのです。次回は、そのシャシー&サスペンション形式に触れていきたいと思います。