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ジム知る
VOL.011
ジム知る 第11回:雪道に行く前の準備と走り方(1)
ジム知る 第11回:雪道に行く前の準備と走り方(1)

ジムニーに限らず、4WDユーザーにとって胸躍る季節といえば冬。雪道は、4WDの性能が遺憾なく発揮できるシーンのひとつだからです。雪道に強いと言われているジムニーですが、存分に楽しむには十分な準備と知識が必要です。今回は、まず準備編についてお話していきたいと思います。

文・山崎友貴

雪用タイヤの選び方

"M+S" の表記

雪道に行くのにマストと言えるのが、雪用タイヤです。雪用タイヤでは一般的なのはスタッドレスタイヤで、まずこれを購入しておけば問題ありません。しかし、マッド系タイヤやオールシーズンタイヤを選びたいという人は、購入時や走行する時に注意が必要です。

かつては、マッド系タイヤは「マッド&スノータイヤ」と呼ばれており、“MUD &SNOW”や“M+S”の表記があれば雪道性能を備えており、高速道路などの冬用タイヤ規制時でも通行できるとされていました。しかし、スタッドレスタイヤの一般化、地球温暖化などの影響から路面凍結が常態化してことにより、規制時にはマッド系タイヤでは通行できないケースが多くなっています。

スノーフレークマーク

このようなケースでは、スタッドレスタイヤか「スノーフレークマーク」の付いたタイヤであれば通行が許可されます。スノーフレークマークとは、これはアメリカの『米国試験材料協会(ASTM)』が、雪道における十分な性能を有しているタイヤであることを示す規格です。冬用タイヤ規制時には、チェックポイントでこのマークを確認することが増えており、例えM+Sタイヤでもマークが付いていないタイヤは通行NGになる場合があるのです。

ただ、スノーフレークマークが付いているタイヤでも、凍結路面で十分な性能を持っているわけではありません。夏用タイヤの側面を持ったマッド系タイヤやオールシーズンタイヤの、弱点とも言える部分です。

ジムニー、ジムニーシエラは車両重量が約1tありますから、寒冷地に行くなら是非ともスタッドレスタイヤを装着していきましょう。

タイヤチェーンは雪道ドライブに必要

よく「スタッドレスタイヤを装着しているから、タイヤチェーンは不要」という声を聞きます。あながち間違っているとは言えませんが、できればタイヤチェーンは携行していきましょう。

なぜなら、雪国で大量が降りそうだという場合、一般路や高速道路でチェーン規制が発令されるからです。チェーン規制が発令されると、例えスタッドレスタイヤを装着していても、チェーンを装着していなければ通行することができません。

加えて、積雪のある林道走行をしたり、深雪のスノーアタックをする場合にも、タイヤチェーンは必要になります。スタッドレスタイヤは圧雪路や凍結路には性能を発揮できても、深雪や雪と泥が混じった路面ではトラクション性能を発揮できないことが多いからです。そこでタイヤチェーンを装着し、その凹凸部分で深雪をかき分けることで前進するわけです。もちろん、タイヤチェーンとは言えども、あまりに積雪が多い場合はスタックすることがありますが。

ちなみにタイヤチェーンにも、「金属」「樹脂」「布」といった素材の違いがあります。布製のチェーンは非常用ですので、基本的にはジムニーなどのオフロード4WDには向きません。深雪で遊びたいという人は、やはり金属チェーンを選ぶのが無難です。チェーン規制が発令された場合も、十分な安全性を発揮してくれるはずです。

どんなモノを雪道ドライブに持っていく?

寒冷地に向かうのに、これがマストだというアイテムはありません。ですが、できるだけリスクを減らすための準備が必要です。ここでは、筆者が雪道ドライブに用意していくアイテムをご紹介します。

まず、イザという時にあると安心なのが「牽引ロープ」と「バッテリーケーブル」です。牽引ロープは、雪道でスリップしてしまい、路肩に落ちたりした時に、他車にレスキューしてもらう場合に使えます。もちろん逆も然りで、他車をレスキューすることができます。

牽引ロープは伸縮タイプ、かつできるだけ最大破断力が大きなものを用意しておくといいでしょう。特に車両が深雪の路肩にハマってしまった場合、前述の条件の牽引ロープでなければ、簡単に破断してしまうことがあります。

バッテリーケーブルは、日常的にオーディオやアクセサリー電源を使う人には必需品です。特に2年以上はバッテリーを交換していない…という場合は、低温下で一気にバッテリー能力が低下し、バッテリーあがりをしやすくなるからです。

バッテリーケーブルも、12V・24V兼用で、最大容量の大きなものを選びましょう。自分のクルマは12Vだ…という場合でも、24V対応品を持っていればトラックから給電してもらうことができます。最大容量が小さいケーブルだと、一気に大容量の電流を流すと燃えることがあります。

次に用意しておきたいアイテムは、除雪用スコップです。ホームセンターなどで売っている樹脂製でかまいません。もちろん、普通の剣先や平スコップでもOKです。駐車中に大雪が降った場合は、スコップがあると車両の周囲の雪をどかすことができて、容易に発進することができます。また、深雪を走行していてカメの子スタックになってしまった場合、車両下の雪を除けることで脱出できることがあります。車両上の除雪をするブラシと共に、携行していきましょう。

深雪スノーアタックに行くのであれば、レスキューボードも用意しておきましょう。よく脱出用に毛布を勧めている場合がありますが、深雪でスタックした場合に毛布はまず役に立ちません。せいぜい、雪に寝転がって作業する場合に、身体の下に敷くと冷えが防げるくらいです。こういう場合は、むしろキャンプ用マットの方が便利です。

フロントガラスの解氷対策もしておきましょう。解氷スプレーが便利ですが、いらなくなったプラスチック製のポイントカードを持って行くと便利です。カードを斜めに1/2にカットすれば、ガラスに付いた氷を落とすスクレパーになります。

できれば、携行缶に入れたガソリンも持っていた方がいいでしょう。北海道や東北地方の山間部では、ガソリンスタンドがほとんどないことも。冬季にガス欠になると、気象条件によっては生存の危機に陥る場合があります。さらに昨今は記録的な大雪で、車中に何日も閉じ込められることがあります。こういう場合でも、ガソリンが無くなると暖房を利かせることができません。

ジムニーやシエラであれば、5Lもあればとりあえず給油ポイントを探すのに十分な走行可能距離を稼ぐことができます。アイドリング状態であれば、さらに長くエンジンを稼動させることができるでしょう。

ちなみに、大雪で立ち往生して車中に閉じ込められた時のために、ダウンコートなどの厚手の衣類、1日分の食料も用意しておきましょう。また、トイレットペーパー、ゴミ袋があるとトイレ問題においても安心です。

ここで紹介したモノの多くは、使う機会がないことの方が多いのですが、降雪地帯では何が起こるかは分かりません。いろいろな状況や事態を想定して、リスクを極力避けられる準備が必要になります。