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ジム知る
VOL.001
第1回:ジムニーはなぜあんなカタチ?
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第1回:ジムニーはなぜあんなカタチ?

今回から新企画がスタート! アピオ半世紀の集大成である、ジムニーJB64&74をベースにしたコンプリートカー「TS」シリーズ。ジムニーの魅力をさらにグレードアップさせたTSを120%楽しむために、様々な情報をお伝えしていきます。ローンチの今回は、ジムニーというクルマについて、改めて検証していきたいと思います。

(文/山崎友貴)

あのシカクさにはワケがある

オープスター・ON型4WD

ジムニーは世界でも希有な、小型四輪駆動車です。1970年に世界初の軽自動車サイズのオフローダーとして登場しました。ジムニーファンならご存じだと思いますが、ジムニーはそもそもスズキオリジナルのコンセプトではありませんでした。オリジナルはホープ自動車というメーカーの「オープスター・ON型4WD」というモデル。

非常にユニークなコンセプトでしたが、自社で開発・販売が難しくなったため、他社に企画を売ることになったのです。それに目を付けたのが、当時、スズキ東京の社長だった鈴木修現相談役でした。本社内の反対もありましたが、そのコンセプトは将来スズキを代表するモデルになるという確信があった鈴木修氏は、ホープ自動車から製造権を購入しました。

スズキはホープ自動車の設計図を参考にしながら、市販車としての品質をより向上させるためにデザインや構造などをブラッシュアップ。自社モデルで使っていたパーツを多く流用することでコストを下げて、結果的に商用車として初代LJ10型を発売したのです。

その後の歴史についてはまたの機会にしますが、以後は輸出専用のモデルなども続々と追加し、2代目、3代目、そして2018年に現行型へとスイッチ。今や世界のユーザーから愛される名車に成長しています。

スズキジムニーJB64

さて、現行モデルが登場した時に、巷のユーザーをアッと驚かせたのが、そのスクエアなフォルムです。そもそもジムニーは、2代目までは竹ベラでスパッと切ったような潔い四角い形状でした。しかし3代目は、世の中の流れがSUV寄りになっていったことから、それを意識した丸みを帯びたデザインになったのです。

JB23/43と呼ばれるその3代目も、いま改めて見ると非常にいいデザインだと思います。しかし、4代目はそれを再考し、従来モデルの中でも最も四角くなったのです。登場時にはメルセデスベンツのGクラスにも似ていることから、「ベビーG」などというあだ名も付けられたJB64/74ですが、なぜこのようなカタチをしているのでしょうか。

よりタフな道具としてのイメージをアピールするため、というデザインの意図もありますが、そこには機能という大きな理由が隠されているのです。

優れた悪路走破性を支えるためのデザイン

※スズキ公式資料より

ジムニーはよく、優れた悪路走破性を持つクルマだと言われています。悪路走破性とは、荒れた路面の場所や道ではないオフロードを走るために必要な性能のことです。「オフロード性能」とか「クロカン性能」などとも言うことがあります。

まず、ジムニーを見てみると、普通のクルマよりも最低地上高が高いことが分かると思います。“車高が高い”と表現する場合もあります。車高が高いのは、路面から車体下部までの距離を、通常のクルマよりも大きく取っているから。この路面から車体下部までの距離を「ロードクリアランス」と言ったりしますが、なぜ多く取るのでしょうか。

例えば、走る道に大きな石が落ちていたり、道路に凹凸があったりした場合、ロードクリアランスが大きいと車体下部をぶつける恐れが少なくなります。もしロードクリアランスが小さいと、前後バンパーの下やボディ下部を路面や障害物にぶつけることになり、場合によってはそれが抵抗になって前進後退ができなくなります。こういう“カメの子”状態を防ぐために、あの最低地上高になっているのです。

では、四角いボディはどうしてなのでしょうか。それは、ドライバーが運転中にボディ四隅の感覚を掴みやすいようにする狙いがあります。車体が丸味を帯びていると、運転中に障害物との距離の把握が勘に頼らざるを得ない部分がでてきてしまいます。しかし同じ面が続いていれば、障害物との距離はどの位置でも一緒。車体が前後左右に傾いて車両感覚が掴みづらいような状況でも、ボディの一部を見れば直感的に現状を把握、もしくは予測することができるわけです。

直線を基調としたインテリアデザイン

さらにこの車両がどういう状態かを分かりやすくさせているのが、インテリアデザインです。ジムニーのインテリアは、メーターからダッシュボードまでほぼ一直線。この線はボンネット、バンパーと平行したものであり、車体の傾きを直感的に把握しやすいようにするための配慮なのです。

一見すると、非常に単純なカタチをしているジムニーですが、そこには設計者の深慮遠謀が秘められているのです。

さらにカタチをブラッシュアップして悪路走破性を向上させたTS

アピオジムニーJB64-TS3(20㎜アップのサスペンションに185/85R16サイズのタイヤを装着)

ジムニーの各部にカスタムを施し、ノーマルにはない新しい価値を付加しているのが「アピオTSシリーズ」です。まず、一見して分かるのはロードクリアランスが拡大していることです。タイヤ&ホイールをサイズアップして、さらにリフトアップサスペンションを装着することで、ノーマルよりも最低地上高を高くしています。

例えば、一番リフトアップ量が少ない「TS3」は、20㎜アップのサスペンションが装着されています。これに185/85R16サイズのタイヤを装着しますので、タイヤの銘柄によっても差違がありますが、ノーマルよりも3〜4cmほどボディーのロードクリアランスが拡大しています。(最低地上高はタイヤ外径分の1.5cm〜2cmほど拡大)

アピオジムニーJB64-TS4(40㎜アップのサスペンションに205R16サイズのタイヤを装着に加え、前後バンパーにタクティカルバンパーを装着)

また、オリジナルの前後バンパーも悪路走破性の向上に一役買っています。上下前後方向にコンパクトにしたデザインは、路面の凹凸や障害物に接触しにくくするためのもの。併せてロードクリランスも大きくなっているので、「アプローチアングル」「ランプブレークオーバーアングル」「デパーチャーアングル」という、悪路走破性の指標となる対地角度を拡大させています。

さらに、リフトアップに伴って装着位置を改善させたオリジナルマフラーを装着することで、アピオTSシリーズはノーマルジムニーよりもオフロード走行の安心感がグッとアップしているのです。

今回は、ジムニーのデザインの理由について話を進めてきました。2018年に「グッドデザイン100」を受賞した現行型ジムニーのカタチは、単に機能を優先させただけではなく、このクルマの伝統やオフロード4WDとしての魅力、オーナーとしての満足感など、様々な要素が盛り込まれています。昨今、クルマの安全性についての要求が高くなる状況下で、実はあのスクエアなボディを新型車として登場させたことは、スズキの大英断と言えます。そんな作り手の情熱を感じながらジムニーに乗ったら、さらに愛着が湧くのではないでしょうか。