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ジムニーで行く林道旅
VOL.044
~長野県・小谷林道~
~長野県・小谷林道~

5年前のゴールデンウィーク明けに訪れたが、深い残雪により走れなかった林道がある。
長野県北安曇郡小谷村にある小谷林道だ。
再チャレンジするつもりだったが、2014年に発生した長野県神城断層地震により被災してしばらくの間通行止めに...。
その小谷林道が遂に通行可能となったので、20数年振りに訪れた。

20年以上続く旅の友

5年前、ゴールデンウィーク明けに訪れた時。降雪量が多かったこともあり、残雪が深かった。

筆者は以前にフォーバイフォーマガジン社に勤めていた(もちろん編集部)。最初にOFF ROAD EXPRESS編集部、次に4×4MAGAZINE編集部、再びOFF ROAD EXPRESS編集部に戻った後に別冊編集部に配属。様々な記事を手がけたが、OFF ROAD EXPRESSと4×4MAGAZINEでは林道ツーリングを担当していた。

旅好きキャンプ好きだったから、とても嬉しかったが、今思えば何で担当させてくれたんだろう? まぁ、それはさておき、4×4MAGAZINE編集部の時から、林道ツーリングのカメラマンはYカメが担当している。かれこれ20数年続いている腐れ縁だ(笑)。

そのYカメペアを組んで林道旅を始めた頃に行ったのが、長野県北部にある小谷林道だ。小谷林道は小谷村を通っている8本の林道の総称で、正式名称は『姫川妙高線』、『東山線』、『北野線』、『土沢線』、『深原線』、『妙高小谷線』、『大池線』、『大久保線』となっている。

これも5年前の写真。雨飾荘を過ぎてすぐご覧の状態に…。一般的な林道はゴールデンウィーク前に開通されるが、小谷林道は6月中旬まで冬季閉鎖されている。

実はその前年に他のカメラマンと姫川から妙高高原に通じる『姫川妙高線』を走ったのだが、湯峠手前で通行止めとなっており、Uターンを余儀なくされた。そしてリベンジとばかりに翌年は白馬駅側からチャレンジしたのだ。その時はYカメが担当で、小谷温泉の山田旅館に泊まり、その歴史ある風情と情緒、ゆったりと流れる時間に心を癒やされたのを今でも鮮明に覚えている。

2年連続で走ったのだが、自然豊かで道は適度に荒れていて走り甲斐があり、「何度でも走りに来たい!」と非常に気に入った。それから現在までに日本各地の林道を走ったが、小谷林道は特に思い出深いルートのひとつに挙げられる。それにしても、まさかYカメとの付き合いが現在まで続くとは、当時は全く予想していなかったな(笑)。

5年振りのリベンジ!

小谷村のウエブサイトでは、林道に関する情報が随時更新されている。

この『ジムニーで行く林道旅』が始まったのは2012年6月のことだが、実はその1年前に他紙の仕事で小谷林道に行ったのだ。と言っても他の林道をメインとしていたので、小谷林道はあくまでオマケ。そのために下調べしないで訪れたら、林道入り口の遥か手前で深い残雪により通行止めを喰らった…。その後、平成26年11月22日に発生した長野県神城断層地震により、各林道が被災。しばらくの間通行止めとなっていた。

小谷村は日本でも有数の豪雪地帯のため、夏場を過ぎても残雪で走れなかったり、大雪による土砂災害で通行止めになることが多い。特に被害が大きかったのが、平成7年7月11日の集中豪雨だ。上越地方は総雨量300㎜を超える集中豪雨に見舞われ、関川と姫川が氾濫。行方不明者1名、家屋100戸以上が全半壊、6,000戸以上が床上・床下浸水となり、国道148号やJR大糸線は橋の流出などにより壊滅的な被害を受けた。当時、完全復旧には10数年はかかるだろうと言われたほどの大惨事である。

このように小谷林道は「走りたくてもなかなか走れない林道」のひとつ。ところが「今なら走れるみたいだよ!」とYカメから連絡があった。「このチャンスを逃したらいつ走れるか分からない。すぐに行くしかない!」と急遽スケジュールを組んだのであった。ちなみに現在は小谷村のウェブサイトで最新の林道情報が掲載されている。何ともありがたいサービスだ。

『通行止め』が解除されている?

南小谷駅を境にJR東日本とJR西日本の管轄に分かれている大糸線。タイミング良く車両が通過したので記念撮影。

長野自動車道を安曇野ICで下り、国道148号線で北上する。一番手前にある林道は『大池線』で、栂池高原から栂池自然園まで繋がっているルート。美しい風景が楽しめるのだが、残念ながら通行止めなので、そのまま北上して、次にアプローチできる『大久保線』を目指すことに。大久保線は下調べで走れることが分かっている。筆者、Yカメともに初めて走るルートなので心が弾む。

南小谷駅を境にJR東日本とJR西日本の管轄に分かれている、なんとも珍しい大糸線の線路を越えて、しばらくすると大久保線の入り口となる。観光スポットの『眺望の郷』まで通じているルートなので、路面の整備は行き届いている。生殖している木々は自然林の広葉樹のため風景が美しい。山深いし、平日ということもあり、我々以外に走っているクルマはない。

JB23のエンジンを止めると、耳に入るのは木々のざわめきのみ。「これで川のせせらぎがあればな〜」というのは贅沢な話。静粛な緑に世界に包まれているだけで十分に心が癒される。

『眺望の郷』を過ぎると分岐点となった。『大久保線』の終点で、ここから先は左右(南北)に『東山線』が伸びている。

『大久保泉』はブナなどの広葉樹が主体となった原生林の中を走る。路面は整備が行き届いていて快適だ。

下調べでは『東山線』は通行止めとなっており、右側はゲートで封鎖されていた。しかし、左側(奉納温泉方面)は『この先通行止め』の看板が道路脇に立てられているものの、道自体は閉鎖されていない。『一般車両進入禁止』の看板も見あたらないので、「これは走っても問題ないだろう!」と前向きに(?)判断して進むことにした。

通行止めになっているため、工事車両しか通らないのだろう。ワダチから雑草が伸びていて、路面が緑の絨毯となりつつある。山肌は崩れておらず、倒木もない。路面状態は相変わらず良好で、非常に快適だ。「これ、もしかしたら、工事が終わってるんじぁね?」なんてYカメと話をしていたら、土木作業用のプレハブ事務所が建てられており、1台のトラックがこちらに向かってきた。「何か言われるかな?」と思ったが、そのドライバーは笑顔で我々を優先して通してくれた。

またその先に2台の軽トラが停まっていて、作業員が3名いたけど、制止されることはなかった。「やっぱり、もう工事が終了して通れるんだよ!」。と思ったのも束の間、やはり現実は甘くない。右コーナーを曲がると大規模な土砂崩れ現場だった…。

『東山線』の大崩落現場。9/1現在でもウエブサイトには『当面の間通行不可』と記載されている。

筆者は「乗り越えられそうならチャレンジするよ!」とやる気十分だが、長さ20m、高低差5mもあり、地盤はかなり軟らかい。スタックしたらふたりだけでの救出は無理なので、潔く撤退することにした。

『東山線』だけで5㎞は走れたから良しとしよう。ここのピストンと『大久保線』を合わせて15㎞オーバーだから、距離的にも不満はない。天気に恵まれて気温も30度超だったから、かなり汗をかいた。「もう温泉でさっぱりしたいな〜。それよりも腹が減った」と、ふたりの意見が一致したので町へ出ることに。

『大久保線』との合流地点の少し手前で、再び工事車両とすれ違った。今度はウインドウを下げて何か話しかけている。なんだろう? ウインドウを下げると「この先の所で、チェーンを掛けちゃった。簡単に外せるから、外して通って。そして掛け直してくれると助かるわ! よろしくね〜」。物腰低く、笑顔で言われたから、こちらも負けじと(?)、「はい!必ずチェーンを掛けておきます。 走らせてくれてありがとうございました !!」と笑顔&丁寧に返答。いや〜、最後の最後まで気分よく走れたわ!

最長の『姫川妙高線』を完走!

雨飾荘から徒歩3分の距離にある『雨飾高原露天風呂』。非常に開放的で気持が良い。源泉かけ流しで、やや熱め。

今回の宿は『姫川妙高線』と『妙高小谷線』の分岐点そばにある『雨飾荘』。標高900メートルの山間にたたずむ静かな一軒宿で、雨飾山の登山や自然散策を楽しむ人々の拠点となっている。

内湯と露天風呂、さらに徒歩3分のところにブナの原生林に囲まれた露天風呂、3つの温泉が楽しめるのだ。料理は美味しいし、スタッフの対応もハキハキしていて気持ちがよい。アットホームで肩肘張らずにリラックスできる温泉宿だ。

実は5年前に来た時、雨飾荘が管理している『雨飾高原露天風呂』に入湯。さらに館内で昼食として蕎麦を食べたのだが、とても美味しかった。さらにスタッフの対応も好印象で、「この宿イイんじゃない?」と気になっていたのだ。日帰り入浴や食事のみもOKなので、一度訪れてみてはどうかな?

途中にあった支線をアタック。短いピストン林道だが、交通量がほとんどないため、草木が伸び放題。

二日目の早朝から温泉に浸かるなどで、心身共にリフレッシュ ! 『姫川妙高線』と『妙高小谷線』の2本を完走したいところだったが、『妙高小谷線』は通行止め…。それでも8本の中で最長の『姫川妙高線』は走れるから良しとするか!

『雨飾荘』から少し走ると、路面がダートに切り替わる。『姫川妙高線』に突入だ。標高が高く、また北側が開けているため、緑に色づく山々が眺望できる。そしてバックミラーに映るのは『薬師岳』だろうか? 標高は低いものの、なかなか雄大な姿を見せている。

ガードレールや電線、鉄塔などの人工物は全く目に入らない。まさに山奥、まさに大自然そのもの。何故か小谷林道を走っていると、時の流れがのんびりと感じられる。筆者はこの感覚に魅了されたのだ。

『小谷林道』は林道ツーリングが好きなら、一度は走っておきたいルートだと思う。路面はフラットダートではないが、整備されているからビギナーでも安心して走れるハズだ。気になる人は小谷村のウェブサイトで通行状況を確認し、走れるようならすぐに旅立とう!

2日目に走った『姫川妙高線』。少しの間稜線を走るのだが、眺望も楽しめるし気分爽快!

昔ながらの原生林が多く、また多くのダートが残されているのが小谷林道の大きな魅力なのだ。
旬の山菜3種盛り。右から小谷野豚チャーシュー、エゴ酢味噌添え、信州サーモンマリネ。
清流岩魚の姿造り。川魚独特の臭みがなく、淡泊だが噛みしめると甘みを感じる。コリコリとした歯ごたえもGOOD!
旬の天麩羅盛り。揚げ立てなので、サクサクとした食感が味わいを引き立てる。
信州プレミアム牛A5。岩塩と山ワサビで食すのだが、その美味さは言うまでもない。
シナノユキマスソテー香味ソース。身がプリプリとしており、香味ソースと野菜と絡み合った奥深い味が楽しめる。
毎分240リットル湧出の湯量を誇る温泉。内湯のみ湯温調節のため加水している。
源泉かけ流しの露天風呂。目に入る景色は隣接する山々のみで、山奥の一軒宿を強く感じさせる。
泉質はナトリウム炭酸水素塩泉で、ほぼ無色透明。体が芯から温まり、なかなか冷めない。
日帰り入浴や食事のみも可能。ともも居心地の良い温泉宿だ。http://www.amakazari.jp/
Yカメが注文した来夢来人のデミグラスオムライス。筆者はカツカレーを食べたが味、ボリュームともに満足!
いつも駐車場が満車状態の『来夢来人』。洋食やとんかつなどが人気。http://www.raimu-raito.com/