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ジムニー車中泊・ひとり旅
VOL.020
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.20
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.20


ジムニー車中泊ひとり旅 Vol.20 「武尊山」
Traveling alone with jimny.



陽は落ちても熱が消え去ることはない
猛暑の続く街を逃れて涼しげな山の懐へ入ってみよう
上州のいぶし銀、名山「武尊山」へ

SPECIAL THANKS/ほたか牧場キャンプ場 
※ほたか牧場キャンプ場のプランに車中泊の設定はありません。

Photo & Text : 山岡和正

灼熱の日常を抜け出し 爽やかな高原の風に乗って走る

真夏日が続く日々、SNSをうろうろしていると友人が投稿した綺麗な高原の写真が目にとまった。確認してみると、どうやら群馬県の奥にある武尊山あたりのようだ。武尊山(2158m)は日本百名山のひとつにも数えられる美しい山で、山行中には鎖場や梯子などのアトラクションが楽しめるし眺めも良く、それでいて比較的登り易いため人気が高い。山の周囲には登山者が車を置いておくための野営場がいくつもあって車中泊するのに困ることもない。中腹にある赤倉林道、南下して栗原川林道あたりを攻めてみるのも面白いだろう。
目的地を武尊山と決めてはみたものの、いくら走破性の高いジムニーとはいえ山頂まで行ける訳もない。
友人の投稿した高原は武尊山に程近い「ほたかキャンプ場」のようなので、先ずはそこを目指すことにした。

全ての林道は季節ごとに顔を変える

関越道の沼田ICを降り川場村へと入る。集落を抜けて民家が見えなくなるとすぐ右手に赤倉林道南側の出入口があるのだが、こちらのゲートは通年閉鎖されている。基本、未舗装路は北側からのピストン走行ということになる。
赤倉林道は入口にある舗装路の段階ですでに草に覆われていた。夏とはいえ茂りすぎていて、前方が良く見えない。スクラッチなど、車体へのダメージも気になるので低速で慎重に進んだが、それにしても酷い状況だ。伸びた草が少なくなったタイミングで四駆にシフト、加速しかけた途端目の前に大きなゲートが出現した。一瞬、別の林道・引き返す・通行止め・時間などのワードが頭の中を駆け巡ったが、よく見るとそれは山間部によくある野生動物用の柵のようで通行できそうだ。もちろんカギもなく簡単に開くことができて大事にいたることはなかった。

無事に柵を通過して先に進むと、あれほど茂っていた草木が跡形もなく消えて緑のトンネルの中を軽快に走った。以前来た時の記憶では、少し先に荒涼とした地形の広がる場所があり撮影ポイントとしては良かったのだが、どれだけ走ってもその場所に出ない。そのまま林道は下りになり南側にある通行止めのゲートに辿り着いてしまった。前回来たのは冬季だった、どうやら夏季になると緑が全てを覆い景色が別物に変わってしまうようだ。どの林道も時期により違う様相を見せてくれる。それが林道の魅力の一つでもあるのだと思う。

林道を引き返して目的地の高原へと向かった。武尊山をトラバースするように登って行き、林間の道を抜け高度を上げて行くと、丘を登りきったところに芝のキャンプサイトが広がっている。一番見晴らしの良い場所にジムニーを止めてアイスコーヒーを飲みながら景色を愛でる。そよ風に吹かれながら、遠くに鳥の声を聴く。もう少しゆっくりしたかったのだが、野営の準備もあるので後ろ髪を引かれながら高原を後にした。
野営地の夜は早く、時を待たずに光が消えていく。遠くにはシルエットに変わった白樺の隙間から、月がやわらかな光を放っていた。

川場野営場へと通じるプチ林道

武尊山登山のための道路で、県道から2km程度のダートがある。登山者のためにしっかりと整備されていてオンロードバイクでも走れそうだ。この季節、緑色の世界に降り注ぐ光は眩く地面には無数の光のアートが広がっていた。

知る人ぞ知る蕎麦街道で舌鼓

川場村周辺には美味い蕎麦屋がひしめき合っている。武尊山もそうだが、谷川岳や尾瀬などから流れ出る良質な水を使っているからなのだろう。人気の店ともなると数時間待つのが当たり前なのである。

夜を過ごすなら肌寒いくらいが丁度よい

標高1500mを超える場所でのキャンプは涼しいを通り超えて寒いくらいだった。陽が傾いてくるとTシャツでは我慢できず、早々に薪に火を入れることにした。焚火の揺れる炎は暖を取るだけではなく、心まで温めてくれる。

SPECIAL THANKS/ほたか牧場キャンプ場

ライタープロフィール

山岡 和正

山岡 和正

雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。

ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
SNS:Facebook

原生林というには微妙だが、そこここに自然の息吹を感じさせる風景があった。自然に作られた形や色は人間には再現できない美しさがある。
野営した場所は空が広く見渡せたのでタイミングがよければ満点の星空が見られるだろう。当日は雲が多く星はちらほら程度だったが、月は静かに美しく輝いていた。