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ジムニー車中泊・ひとり旅
VOL.029
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.29
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.29


ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.29 「南伊豆編」
Traveling alone with jimny.


風の吹きすさぶ丘を越えて
晩冬を迎える西伊豆へ


冬の峠は越えたが、夜はまだ凍えるほど寒い。
少しだけでも春の気配を感じてみようと、南へ向かう。


Photo & Text : 山岡和正
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。
ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
SNS:Facebook

今シーズンは全く雪を見ていない。
雪化粧をした林道や雪原でスノーアタックに興じたいと思い、豪雪地帯の友人や自治体に問い合わせてみたものの、除雪されている道路以外は雪が深すぎて走れないという。山中にある林道を走るなど論外、ということらしい。車での雪中行軍は場所選びが難しく、多ければ進めないし、少ないと楽しくないので厄介だ。色々とリサーチはしてみたが良い情報が得られなかったので、今回は雪景色を諦めてこの季節でも温暖な伊豆方面に舵を切ることにした。

箱根を越えて伊豆スカイライン経由で修善寺を抜けて、青空の下ぽかぽかとした陽気があたりを包み1月とは思えない春の雰囲気が漂う。
これならば、今夜の野営も寒さに凍えることもなく過ごせるだろう。
そう思いながら達磨山へと登って行ったのだが、西伊豆スカイラインの尾根へ出たとたんに辺りが一変した。西側からの強い風が、音を立てて吹き荒れている。木々は大きく揺れ、クマザサの丘陵に映る雲の影も飛ぶように流れていた。写真を撮るために車外へ出ると、強風に体温が持っていかれて体感温度が急激に下がって行くのが分かる。
麓で感じた春の装いとは大違いである。
それを回避するため、逃げるように近くの林道へと滑り込んだ。

森に入ると木々のお陰なのか風はすっかり止んで、また春めいてきた。
この辺りは何度も来ている西伊豆の林道だが、短いピストンや林業などのために新しくできた場所も多く、なかなか完全走破とはいかない。今回はメジャーなルートを軸に、未開の支線を攻めてみることにした。
国土地理院の地図を確かめて、林道と思しき場所を探しながらゆっくりと進んで行く。
ところが、記されている場所に道が無いことや、自然災害などで崩壊して通行止めになっているケースが多く思うようにいかない。
ジレンマを抱えたままメインルートを走っていると、いつの間にか麓の集落が見え始めた。

これは困ったことになった。
このままでは新たな林道を見つけられないまま終わってしまう。
良く知っている道とは言え林道自体はそれなりの距離を走っているので、それはそれで満足なのだが、走ったことのない場所や見たことのない景色を体感しないと、ウッドランドトレイルやアドベンチャーといった意味では成立しないのだ(と、勝手に思っている)。
すでに2時を過ぎているが、最後にもう1本だけチャレンジしてみようと一度街に降り、少し南側にある渓谷沿いの短い林道へ入ってみることにした。
もう日暮れも迫っていて、北斜面の森は青く薄暗かった。杉で構成された森の地面には、シダがびっしりと群生している。道の上には杉の枯れ葉が厚く絨毯のように敷き詰められていて、そこを進むのはあたかも新雪の上を走っているようだ。峠を越えて南斜面に出ると、雲の隙間から漏れてくる太陽光が時折シダの海を照らしていて、その光景がなんとも美しかった。

林道を後にして、強風にあおられながら荒れた海を横目に、急いで野営地へと向かう。
キャンプサイトのセッティングを終え、海に目をやると水平線の向こうへと夕陽が沈んでいくところだった。
それは誰もが思い描く美しいオレンジ色の風景ではなく、強風で暴れる水しぶきの中で鈍く光っていた。
荒ぶる風と水平線の彼方に白く光る夕陽は、どこか別の惑星上で起こっている出来事のようで神秘的な姿だった。

同じエリアで海と山の温泉を堪能する

西伊豆には温泉施設が沢山あるので、少し寄り道して身体を温めたい。「沢田公園露天風呂」はマグマの通り道が隆起した断崖絶壁の上にあり、駿河湾が一望できる。硫酸塩泉の湯は無色透明で若干熱めだ。

250年前に発見された大澤温泉「山の家」は、那賀川の支流、池代川沿いの岩盤から毎分230リットルもの湯が噴出してかけ流されている。弱アルカリ性の泉質は肌に優しい。入浴料は沢田公園露天風呂と同じ600円だ。

自然の中でのリスクヘッジ 道具のメンテと予備の重要性

珈琲休憩の準備中、なぜかバーナーが着火しない。どうやらジェットが詰まってガスが出ていないようだ。予備のバーナーを使って事なきを得たものの、装備のトラブルは命をも危険にさらすのだと再認識する。

荒れていた天候も収まり、夜の車内は快適に

強風もいつの間にか止み、静かな車中泊に戻った。温暖な伊豆だけあって気温自体が低いわけではないので、冬場でも高機能のマットと寝袋さえあれば暖かく過ごせる。

アイテムの選択は難しい

炒め物にはスキレットが定番で美味しく出来るのだが、いつも小型アルミパンの軽量さに負けてしまう。

ワサビの産地でもある伊豆の蕎麦に舌鼓

伊豆の山中を走っていると、ワサビ田に出会うことが多い。清流で育った新鮮なワサビと一緒にいただく蕎麦は深い山間の蕎麦とはまた違った風味があり旨い。

旅の終わりに 小さな春を見つけた

翌朝、野営地のすぐそばで小さな菜の花がそよ風に揺れていた。