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ジムニー車中泊・ひとり旅
VOL.013
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.13
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.13


ジムニー車中泊ひとり旅 Vol.13
Men alone travel by jimny



平地では夏日になる地域も増えてきた
標高の高い山へと続く林道もそろそろ解放される頃だろう
そんな折、林道湯沢線が開通するとの朗報が届いた
ダートを上り、森林限界の先にある「毛無峠」へと向かう

Photo & Text : 山岡和正

林道を駆け上がり 青空と新緑の眩しい稜線へ

林道マニアにとってのベストシーズンが到来した。崩落や極度の残雪などの危険が無い場合、この時期になると冬季閉鎖されていた各地の林道が通行可能になるのだ。
毎年訪れている長野県のスタンダードコース「湯沢林道」も5月末には通行可能だというので、早速予定を組み行ってみることにした。すでに脳裏には湯沢林道の先にある毛無峠の鉄塔と周囲の山々の美しい風景が浮かんでいる。
梅雨が近づいているし新緑を狙っていたので、いつも以上に天気を気にしながら西へと走った。

高速を降り林道に入ると直ぐにシダに覆われた原生林となる。二駆でも問題なく走れる整備の行き届いた林道だが4駆にシフトする。そのほうが巡航速度での安定感や走破能力が格段に上がるのはもちろんだが、四駆で良かったと再認識できる瞬間でもあるからだ。
森を抜け明るくなり始めると同時に道が荒れ始めた。更に高度を上げて行くと急速に空が広がり、周囲の山肌が見え隠れし始める。最後の砂利道を越えて舗装路に出ると、目的地の毛無峠が見えてきた。

日曜日ということもあり数台のバイクや車が止まっている。JB74を駐車スペースの端に止めて降車すると、吹き曝す風に交じって懐かしい草と土の匂いが香ってきた。北東に御飯岳、西には波風岳へと続く登山道が伸び、南には八ヶ岳が連なり、そして北西には北アルプスが遠く横たわっているのが見える。早速、写真を撮るために御飯岳の登山道を中腹まで上り構図を決めたのだが、晴れてはいるものの雲が多く山肌の大部分がその陰に隠れてよく見えない。このままでは山々を彩る新緑の美しさが半減してしまう。しかし、幸運なことに上空には強い風が吹いているようで、雲の流れが速く待てば何とかなりそうだ。
どのくらい待っただろうか、目を凝らすと西の方から光がこちらへと流れてくるのが見える。
そしてゆっくりと少しずつ毛無峠と周囲の山々は神々しい光に照らし出され、その生命力あふれる緑の木々は深い青色の空を背景にキラキラと輝いていた。

湯沢林道

湯沢林道

高低差があるため起点と終点では様相が全く異なる湯沢林道。起点となる麓のエリアでさえ高度が1000m近くあるので辺りは針葉樹の森となり、生い茂るシダの群生が不思議な光景を見せてくれる。

湯沢林道

中盤から終点に至るまでは若干荒れた路面が続くが、管理する高山村が入念に整備しているため危険な場所は無い。冬季閉鎖から明けたばかりの林道脇には残雪が残っていた。

湯沢林道

毛無峠を後にキャンプ場へ向う頃には陽も随分と傾いてきた。気づけば森の木々や草花たちは皆、芽吹き、色づき始めている。そこには、ようやく訪れた遅い春の美しい世界があった。

高所にあるキャンプ場だが、車内は寒さ知らず

キャンプ地に到着する頃にはすでに辺りは暗くなり始めていたが、一人車中泊はシンプルなので焦ることなく食事の支度にとりかかる。今回の食事も美味い冷凍食品で簡単に済ませた。
標高1600m近いキャンプ場の夜はこの季節でも焚火が無くては過ごせないほど寒かったが、車内は凍えるようなこともなく快適だった。

毛無峠に残る、小串硫黄鉱山跡

毛無峠の南斜面(群馬県側)には1937年まで小串硫黄鉱山があり、資材などを運搬した索道(ロープ―ウェイのような輸送機器)の名残が今も残されている。聳える鉄塔は毛無峠のモニュメントに他ならない。

七味温泉 紅葉館の露天風呂

湯沢林道と並行するように伸びる県道112号(大前須坂線)は温泉宿が犇めく温泉街道といってもいいだろう。麓の蕨温泉から始まり、山田温泉、松川渓谷温泉、五色の湯、七味温泉などそれぞれが異なる泉質をもっている。

ライタープロフィール

山岡 和正

山岡 和正

雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。

ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
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