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ナローシエラで林道探訪
VOL.013
ナローシエラで林道探訪 Vol.13
ナローシエラで林道探訪 Vol.13


雑誌『ジムニー・スーパースージー』に連載中の『林道パラダイス』との連動企画。
2023年9月から10月にかけてナローシエラで巡ってきた北海道の林道記(第3弾)を綴らせていただく。
旅のごく一部ではあるが短い動画も作ったので併せてご覧いただければと思う。

Photo & Text : 赤ぞう
1968年神奈川県生まれ。成城大学卒。日本ジムニークラブ神奈川支部所属。ブログがきっかけとなり2011年からジムニー・スーパースージーに林道ツーリング記の掲載が始まる。著書は「ジムニー林道アドベンチャー」(SSC出版)。千葉県房総半島の林道沿いの家に暮らしながら、日本中の林道を旅することを楽しみとしている。愛車はナローシエラ。
<YouTube赤ぞうチャンネル>



津別町エリア

北見市内の宿で目が覚めると雨が降っていた。
この日に向かうのは津別町の原始林に囲まれたチミケップ湖。道道682号は山に入る手前から砂利道に変わる。途中、東へ抜けられるはずの林道八番沢線がチェーンで閉じられているのを横目に見つつ標高358mの峠を越え、湖畔道路に突き当たった。チミケップ湖はまだ見えない。
まずは西へ進む。道道494号はほどなくして通行止。トドの沢林道は車両が通っている形跡がなく倒木や草木で荒れ放題だった。雨が降ってなければ挑みたいところだが今回は断念。道道494号を南下して行くと、ようやく木々の間から湖面を臨むことができた。天候は快復していないが静かで穏やかな湖である。湖畔沿いに進み林道湖遥線に入ろうとしたが通行止。Uターンして津別市街の方向へ通り抜けた。

美幌・屈斜路湖エリア

美幌町では登栄から始まる美幌林道へ向かった。入口にある鹿避けゲートを開け閉めして探索開始。
フラットで快適な砂利道を走り抜け、松月沢川まで下り、右折方向のシービホロ林道に入る。山ひだをなぞるようにくねくねと続く道は、美幌川が近づくと沢沿いに登り始めた。標高600mに達すると道筋には熊笹がびっしりと繁茂。道はまだ続いているようにも見えたが引き返すことにする。
少し戻ってシービホロ支線林道で美幌峠を目指す。ところが美幌峠牧場の手前から熊笹が茂っていた。ボディーへのダメージを考えると引き返したいところだが、牧場へ抜けたい気持ちが勝り突っ込んだ。雨で笹が濡れていたお陰かキーッという嫌な音を立てることなく擦り抜けて牧場に到達。国道243号へ出ることができた。
道の駅美幌峠でエゾシカ肉ロースト丼を食べた後は、国道を屈斜路湖へと下る。目指すのは屈斜路湖畔林道だ。入口の看板には延長19066mとあり屈斜路湖の大きさに驚きつつ出発。降りしきる雨で水溜まりだらけの凸凹道に徐行を強いられる。しかも森の中を進むルートで景色に変化が少なく退屈気味。ところが後半、湖面がぐっと近づいてくると眺めが良くなり、前半の退屈な印象は吹き飛んだ。通り抜けに要した時間は70分と走り応えがある林道である。

斜里岳北側エリア

清里町と斜里町にまたがる斜里岳の北側を走るべく清里町側の道道857号からスタート。この道道は砂利道で斜里岳登山口まで通じている。途中の脇道は丸太が積み上げられた伐採現場を抜けた先の白樺林で行き止まり。道道に戻って標高680mの斜里岳登山口まで登ったが斜里岳の山頂を臨むことはできなかった。
下りは斜里岳川里林道に入る。赤く染まったツタもみじを眺めながら進んで突き当りを右折。斜里町に入ってから登り方向の脇道に入ってみたが太い倒木があって行けない。戻って本線を進み斜里岳林道に入った。三井コース登山口を通り過ぎたところで雄のエゾシカに遭遇。道の真ん中に立ったまましばらく睨みつけられてしまい、「脅かしてごめん。」という気持ちになる。木々のすき間から斜里岳方向は臨めたが、雲に隠れた山頂は見えないままに標高500m前後の山麓を走って根北峠に到着。国道244号まで通り抜けることができた。

斜里岳西側エリア

この日こそは斜里岳の山頂を拝もうと平岳方面を目指して道道857号を南下。地図を見るとルートは2つあり智恵柵林道とその西側を登る道がある。まずは西側ルートにチャレンジ。伐採現場までは轍痕が多かったが、その先は使われてないようで障害となる枝をどかしながら登って行く。ところが標高450m付近から熊笹が茂り始め倒木もあったので登坂を断念。引き返して智恵柵林道で登り直すと道には車両が停められていた。伐採作業中だ。こっちもダメかと半ば諦めていたら、作業員が車両を端へ寄せてくれた。ありがたいことだ。標高600mまで登るとバックミラーにオホーツク海が映る。間もなく峠だ。熊笹と倒木で引き返した西側ルートからの合流点を覗いてみると熊笹が繁茂。もう廃道なのだろう。峠から先、道の両側には熊笹群が広がり視界が開け斜里岳も平岳も見えてくる。その先の脇道に入ると一段高い位置から斜里岳の全貌を見渡すことができた。まさに絶景。道が斜里岳の南側へ周り込んでくると五の沢林道となり轍痕がぐんと減る。ここではタイヤが跳ね上げた倒木が右サイドを強打。引っかき傷が付いてしまった。その先には太い倒木。どかすのは諦めて引き返すことにした。本線に戻り下って行くと斜里川林道に突き当たり左折。向かうは男鹿の滝だ。ちょっと怖いのは片道10分ほど歩かねばならないこと。ヒグマに出くわしたくないので鈴を鳴らし、声を出しながら歩いて無事に滝まで到着。しばし眺めていると観光客がやって来た。人が増えると少し安心。帰りもヒグマに会わずに済んだがヒグマばかりが気になってあまり楽しめなかった。
次に向かったペーメン林道では動かすには厄介な倒木が横たわっていた。邪魔な横枝だけを切って幹を乗り越えて強引にクリア。その後は生出の沢林道を経て道道1115号へ通り抜け、源泉掛け流しの「緑の湯」で疲れを癒した。

清里町・弟子屈町エリア

向かったのは町境にある野上峠。国道391号のやや東で峠を越える野上峠林道に清里町側から入ってみた。入口から走りやすい滑らかな砂利道が続いたが伐採現場を過ぎると轍痕が減ってくる。峠の手前に立つ「交通安全宣言の町」モニュメントは、この林道が幹線だった時代の名残りだろう。峠から北へ伸びる道は小清水無線中継所で行き止まり。峠に戻り弟子屈町側への下り坂になると車両が通っている痕跡は激減する。不思議と熊笹は茂ってなくて良かったが倒木はたくさんあった。その度にワイヤーで引いたり、ノコギリで切ったりと倒木を脇へ寄せる作業をしながら進むこと1時間。峠から半分ぐらい下ったところに手に負えない巨木が横たわっていた。なすすべもなく引き返すしかない。全て戻ってから国道で野上峠を越えて弟子屈町側の林道入口に向かった。峠越えに要したのは僅か10分。整備された現代の道は呆気ないものだ。弟子屈町側の林道も熊笹は少なかったが倒木は多く、使われていない道なのだろう。倒木をどけながら登って行くと動かすにはやっかいな倒木が出現。向こう側に倒れた巨木まで残り100mほどまでは来ているはずだ。僅かに繋がらなかったがここまで十分楽しませてもらえた。

道道682号を走るナローシエラ。走りやすいフラットダートで峠を越えてチミケップ湖へ向かった。
美幌峠牧場の手前から熊笹が繁茂。ボディーの擦り傷を考えると引き返したいが牧場へ抜けたい気持ちが勝り突っ込んだ。
道の駅美幌峠で食べたエゾシカ肉ロースト丼は美味しかった。
道道857号の脇道は伐採作業現場を通り抜けた先の白樺林で行き止まりだった。
ペーメン林道にあった倒木は邪魔な横枝だけを切ってから幹を乗り越えて強引に突破した。
野上峠林道の峠から北へ伸びる道。背景に立つアンテナ塔は小清水無線中継所である。