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ナローシエラで林道探訪
VOL.003
ナローシエラで林道探訪 Vol.3
ナローシエラで林道探訪 Vol.3


雑誌『ジムニー・スーパースージー』で連載中の『林道パラダイス』との連動企画。
今回は2023年4月の中旬、富山県南砺市と石川県金沢市にまたがる標高939mの奥医王山(おくいおうぜん)を最高峰とする山塊をナローシエラで巡ってきた。


旅のごく一部ではあるが短い動画も作ったのでご覧いただければと思う。

Photo & Text : 赤ぞう

広域基幹林道医王線

最初に走るのは山塊の山ひだをなぞるように南北方向に続く広域基幹林道医王線。その名にふさわしい舗装された立派な林道ではあろうが、脇道が何本かあることを地形図で確認していたので、どこかに魅力的な道があるのではないかと期待して訪れた。走り始めて数キロでさっそく未舗装の脇道を発見。紅ウツギの花を見ながら砂利道を進むと伐採跡地に出た。視界が開けて気持ちいい。走り尽くしはしなかったが伐採道は山の下の方まで伸びていた。それにしても新緑がきれいだ。日が当たるとキラキラと眩しいほどに輝いて森に映える。標高300m前後に続く林道から所々で麓の家々や水田などを見下ろしながら進む。人里近くに美しい自然があるのは羨ましい限りだ。この季節はワラビやタラの芽と山の幸にはこと欠かないようで、あちらこちらで山菜採りの人たちを見かけた。
次に入った脇道は尾根の近くの百万石道路まで通じているはず。しかし長らくクルマが走ってなかったようで枯損木にツタが絡みつくように茂っていた。ボディーに擦り傷を付けたくはないので、その木をどかしギリギリ通れる幅を確保してから走り抜けて百万石道路まで到達。林道医王線に戻ってその後も何本か脇道に入ってみたが、途中で草木が繁茂していて事実上の行き止まりだったり、土砂崩れで進めなかったりを繰り返した。こんなことが続くと飽きが出てくるもの。気分一新、場所を変えてみようということで次のエリアへ移動することにした。

刀利ダムエリア

気持ちを新たに向かったのは奥医王山の南に位置する刀利(とうり)ダムだ。湖畔に出ると湖の向こう岸には桜が咲き、その奥には雪が残る山々が見渡せた。開放的で美しい風景を見ると一瞬で気分はリフレッシュ。

目指していたのはダム湖の南西側エリアだ。読みどおり林道は未舗装だったが、ここも山菜採りの地元ナンバー車が多く行き来していたのでタイヤの痕跡がクッキリ。難なく走行できてしまい少し物足りない。でも山深く進むにつれ入り込む車両は減ってくるようで路面は荒れてきた。しかも、林道の真ん中に大きな落石が鎮座し素直には通らせてもらえない状況だ。引っ張って動くような石ではないので脇を通るしかない。車体を大きく傾かせてアプローチしたが石の方へ滑り寄ってしまう。地形図を確認すると数百メートル先で行き止まりの位置まで来ている。強行してドアを凹ませたくないので、ここで引き返すことにした。

次に向かったのはこの道の途中から分岐して標高差400mを一気に登って石川県側までつながっている林道だ。コンクリートの簡易舗装に落ち葉が積もった滑りやすい急勾配。きついカーブを何度も繰り返し登り続けると、道の中央にジムニーJB23が停まっていて脇をすり抜けることもできない。誰も通らないだろうと山菜採りにでも行ってしまったに違いない。軽くクラクションを鳴らすと駆け戻ってきてくれ、「この先に倒木があって行けないよ。」とのこと。確かに倒木はあったが、幹の途中から折れた倒木で、ちょっと頑張れば動かせそうだ。自分にしてみれば倒木をどかすのも楽しみの一つ。JB23を林道の端に寄せてもらえるようお願いした。
さて、どう対処するのが最適か?考えを巡らし策を練るところから楽しむ。ノコギリで切るには時間が掛かるだろう。体力を消耗しない手っ取り早い方法は何か。今回はワイヤーで引いてみることにした。倒木の左側にワイヤーを掛け、ナローシエラをバックさせながら引きずって上手く端に寄せられれば大成功。だが都合良くならないのが世の常だ。いくら引いても端へは寄ってくれなかったので横に転がして端へ寄せることにした。邪魔な横枝をノコギリで切ってから腕力で転がしてナローシエラを通す幅を確保。ここまでに要した時間は20分ぐらいだっただろう。楽しい苦労の末に倒木の右サイドを走り抜けることができた。

そのすぐ先、右に大きくカーブした地点に現れたのが残雪だ。標高700mほどの北斜面の日陰。深いところでは2mぐらいある積雪だろうか。距離にして50mにも満たないが雪面が傾斜しているので、途中で止まったら谷側へ滑り落ちてしまうかもしれない。でも石川県側へ通り抜けたい気持ちを抑えきれず、まずはやってみることに。ところが重く湿った残雪は手強かった。アタックを繰り返したが10mも進まずに動けなくなりスタック。自重で雪に沈み込んでしまいタイヤは虚しく空転するばかりだ。いい方に考えれば谷へ滑落しそうな所まで進む前にスタックしてくれて良かったのかもしれない。電動ウインチを使っての更なる前進は断念して後ろへ引き出す方法を考えた。ちょうどいい位置にあった立木をアンカーにしてハンドウインチをシングルラインでセッティング。渾身の力でレバーを引いてテンションを掛けつつ、ナローシエラを後退させると割と呆気なく脱出できた。

夕霧峠

旅の最後を締めくくるのは県境にあって眺望が良いとされる夕霧峠。麓のイオックス・アローザスキー場まで行ったものの夕霧峠への登り口は封鎖されていたため、遠回りにはなるが百万石道路で目指すことにした。百万石道路は標高が上がるにつれて尾根沿いルートとなり、富山県側の街並みを見下ろす素晴らしい眺めが続いた。

ところが夕霧峠まで残り1キロというところで残雪に遭遇。標高は800mほど。日陰の吹き溜まりに雪が残っていたのだ。湿った重い雪に加え落石も転がっているので、助走をつけて突っ込んでも落石に引っ掛かり失速してしまう。落石を排除していると向こう側から登山者が下ってきた。聞けば「この先にはもう積雪がない。」とのこと。ここさえ突破できれば夕霧峠へ辿り着けそうなことが分かっただけで不思議と力が湧いてくるもの。勢いづいて邪魔な落石を動かした。落石さえどかしてしまえば後は勢い任せのスノーアタック。雪の上を斜めになりながらもブレーキLSDを効かせて強引に突破することができた。

その先にはフキノトウがたくさん芽生えた草原があった。雪が解けてから間もないということなのだろう。そこからは遠くの山々を見渡すこともできた。美しい眺めだ。残雪区間を突破したからこそのご褒美のようだった。その後はすんなり走ることができ目的の夕霧峠に到着。黄砂の影響なのか空気が霞んでいて金沢市街や、その先にある日本海までは見渡せなかったものの、夕日を眺めながら達成感にゆっくりと浸ることができた。満足である。今回のエリアだけでも全ての林道を走り尽くすことはできなかった。ほかのエリアへも足を延ばせばきっと数多くの林道があるに違いない。富山県は自宅から450キロと遠い地ではあるが、ぜひともまた訪れてみたいと思う。

ライタープロフィール

赤ぞう
1968年神奈川県生まれ。成城大学卒。日本ジムニークラブ神奈川支部所属。
ブログがきっかけとなり2011年からジムニー・スーパースージーに林道ツーリング記の掲載が始まる。著書は「ジムニー林道アドベンチャー」(SSC出版)。千葉県房総半島の林道沿いの家に暮らしながら、日本中の林道を旅することを楽しみとしている。愛車はナローシエラ。

YouTube赤ぞうチャンネル
https://www.youtube.com/@akazosan

広域基幹林道医王線は人里に近いので、所々で山麓に広がる水田や家々を見下ろしながら走ることができた。
刀利ダム湖の南西側エリアの林道。崩れた土砂の上を乗り越えるような箇所もあったが轍痕が多く簡単に走行できた。
倒木の先に現れた残雪。距離は50mにも満たないが、雪面が傾斜しているので途中で止まってしまうと谷側へ滑落してしまうかもしれない。
夕霧峠を目指して勢いに任せてのスノーアタック。前進後退を繰り返しながら強引に走り抜けた。
林道脇の広場には雪解け後に芽生えたであろうフキノトウが群生。まだ雪が残る美しい山々を遠望できた。
タイヤはジオランダー M/T G003。サイズは 6.50R16。林道の泥濘路でもしっかりとグリップしてくれた。