• 前の記事
17.08.27

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.7]エンジンのパフォーマンスアップ前編

エンジンと言えばクルマの心臓であり、クルマの性能を決める大切な部分です。
ジムニーに搭載されているK6A型という660cc直列3気筒インタークーラーターボエンジンは
もう20年も使われている信頼性のあるパワーユニット。
でも、まだまだそのパフォーマンスをアップすることができるのです。

<写真をクリックすると、拡大とキャプション表示を行います>

高い信頼性を誇るK6A型エンジン

ジムニーの心臓部であるK6Aエンジンは、長年生産されているエンジンです。(写真はスズキHPから)

現行型のジムニー、JB23型のエンジンは何度かの仕様変更こそ行っているものの、基本的な構造は20年も同じままです。同型車種が20年続いていることもさることながら、同じエンジンを四半世紀近く使い続けるというのは、自動車史上でも希有な存在です。

そんな古くさいエンジンを積んでるの? と思われるかもしれませんが、現代的な環境性能や燃費性能こそ備えていませんが、道無き道に入り、生還を前提としたクロスカントリー4WDにとっては、エンジンの信頼性はもっとも求められる部分。長年現場で使用して、問題点をほとんど改善したエンジンは、非常に信頼性の高いものになっています。

そういう点では、このK6A型という660ccのエンジンは、ジムニーと共に日本自動車界の宝とも言えます。

K6A型エンジンは、直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボという種類です。直列3気筒というのは、上下に動く3本のピストンが一列に並んでいることを言います。ターボは、別名を過給器と言います。エンジンは燃焼する時に空気を使いますが、自然吸気(NA/ノーマルアスピレーション)だとエンジンの回転数に関わらず、一定の空気しか吸入しません。

でも、回転数に応じてエンジン内にもっと空気を入れてあげれば、燃焼効率が上がり、もっとパワーが出るはず。そう考えて造られたのが、ターボ過給器です。ターボは1本の軸で繋がった、2枚の扇風機の羽根のような構造になっています。片方の羽に排気で出たガスを流します。

するともう一方の羽と一緒に勢いよく回り出します。もう一方の羽は新鮮な外の空気をエンジン内に送ってやります。このように半強制的にエンジン内に燃焼用の空気を入れることでより多くの燃焼の促して、大きなパワーを得ようというわけです。

年を追うごとにエンジンの性能も向上しているジムニー。古い年式の車両ほど、エンジンチューニングの効果が大きいと言えます。

ちなみに別な過給器としてはスーパーチャージャーがありますが、これはエンジンの動力や別なモーターによって駆動し、エンジン内に空気を供給する過給器です。ターボよりも過給する時期が早いというメリットがありますが、主にエンジンの動力で稼動するためにパワーを取られるというデメリットがあります。

インタークーラーは、ターボが過給する空気を冷やすラジエターのようなものです。空気は暖まってしまうと膨張し、空気密度が低くなってしまいます。つまり、エンジン内に入る酸素がそれだけ少なく、燃焼効率も悪くなってしまうということです。そこでターボで過給する空気をインタークーラーで冷やして空気密度を上げてやり、できるだけ多くの酸素をエンジン内に取り入れるという考えで造られた部品です。

さてKA6A型エンジンは、かつてはアルトワークスやワゴンRターボなどに搭載されていましたが、現在国内ではジムニーでしかお目にかからなくなりました。いいエンジンなのですが、昨今のエンジンと比べると若干性能不足を感じるシーンもあります。ですが、これはこのエンジンが持っているポテンシャルを十分に出し切っていないからだとも言えます。

実際、このエンジンをチューニングしたAPIOのラリーカーは、国際ラリーレイドで素晴らしいポテンシャルを発揮しています。自動車メーカーは本来、故障などのトラブルを考慮して、そのエンジンの持つポテンシャルを完全に引き出してはおらず、7〜8割くらいで作動させているものです。エンジンチューニングとはそのエンジンの性能を引き出してやるのが目的です。

特に高回転で伸び悩むAT車には有効なチューニングがいくつかあります。今回はまず、誰でも手軽にできるエンジンチューニングをご紹介しましょう。

エアクリーナーの交換で驚くほどフィーリングが変わる!

APIOの「トツゲキパワーエアフィルター」は、手軽にレスポンス&パワーアップができるチューニングアイテム。

皆さんはエンジンルームに、エアクリーナーというパーツがあるのをご存じだと思います。エアクリーナーはエンジンに供給する空気を浄化するパーツです。

クルマは走行中に前部やサイドから、外部の新鮮な空気をエンジン内に取り入れて走行します。ところが、この空気は必ずしも綺麗だとは限りません。埃や雨、前から跳んできた異物など、様々なものが浮遊しています。特にオフロード走行では、空気中に埃や砂などが舞っていることが多いのです。

こうした異物を空気と一緒にエンジン内に取り込んでしまうと、エンジン内でトラブルを起こしてエンジンストップという憂き目に遭わないともかぎりません。そこでエアクリーナーで一度空気を濾してから、エンジン内に取り入れるのです。

ところが一方で、このエアクリーナーがエンジンのパフォーマンスを下げているとも言えます。試しに、自分の口にティッシュペーパーを当てて、息を吸ってみてください。ティッシュペーパーが抵抗となり、息が吸いにくいと思います。これと同じことが、エアクリーナーとエンジンにも起きているのです。

純正のエアクリーナーはコストなどの点もあり、目の詰まった濾紙や不織布を採用しています。空気を濾過する効果は十分あるのですが、空気透過性という点ではかなり劣っていることが多いのです。ジムニーも例外ではありません。

そこでアフターパーツマーケットでは、より性能のいいエアクリーナーを販売しています。APIOの「トツゲキパワーエアフィルター」もそのひとつ。新開発の不織布素材を使用することで、空気をしっかり清浄した上で、空気抵抗を低くしてより多くの空気をエンジンに取り込むことを実現しました。

シャシーダイナモで純正エアクリーナー(下)とトツゲキパワーエアフィルター(上)を計測比較したデータ。左がトルク、右がパワーの出力曲線。

なんと純正品と比べて、吸入効率が25%もアップ。純正のエアクリーナーを外して、同製品と交換するだけでパワーアップ感がしっかりと感じられます。ただし、無闇に空気抵抗を減らしているわけではありません。ジムニーをはじめ、最近のクルマはコンピューターでエンジンを制御しているため、空気流入量が多すぎるとエアフロが感知すると燃焼を抑える制御が働いて、かえってパワーダウンすることもあるからです。

「トツゲキパワーエアフィルター」は、パワーアップとレスポンスアップが望める空気抵抗値を十分に計算して作られています。

またオイルなどを使うウレタンフォームの湿式エアフィルターと異なり乾式なので、オフロード走行などをした後でも、エアガンなどで簡単に埃を吹き飛ばしてメインテナンスすることができます。

エンジンも血液が大切

「ROADWINエンジンオイル」は過酷なラリーレイドにおいても、マシンがベストな状態になるように考えて作られたエンジンオイル。試行錯誤の上、どの年式のジムニーにマッチするオイルが完成しました。

ご存じの通り、エンジンの中にはオイルが流れています。エンジンオイルには「潤滑」「清浄」「冷却」「密閉」「防錆」」という5つの役割があります。

まずエンジンは、気化した燃料の爆発により、シリンダーの中をピストンが上下することで動いています。シリンダーとピストンは接触しているため、動く度に摩擦が生じて、お互いを傷つけてしまいます。また摩擦係数が高すぎると、エンジンがうまく動いてくれません。そこで摩耗係数を抑えるのが、エンジンオイルの役割。その他にもバルブやクランクシャフトなどエンジン内で動く部品の潤滑油しての役割を持っています。

第二に清浄です。金属部品が摩擦し合うわけですから、微細な金属粉が出ます。さらに燃料が爆発することによって、シリンダー内にカーボンなどの燃えかすが発生します。これらスラッジをエンジンオイルで洗い流して、エンジンオイルフィルターで除去するという仕組みです。

エンジンは燃焼によって高温になるため、冷却水や空冷によって冷やします。ですが、それだけではエンジン内部の隅々まで熱を取ることができません。油は熱を取る作用もありますから、エンジンオイルがエンジン内を巡ることで、過剰な温度の上昇を防いでいるのです。これが3つめの冷却の働きです。

そして密閉。エンジンはシール剤やガスケットなどを使って、できるだけ密閉度が高くなるように作られています。ですが大量生産品のため、いくらスズキ製品が高品質でも完全に隙間を埋めることはできません。また、エンジンは激しく動くものですから、経年変化で多少の緩みが出てきます。こうした理由で発生する僅かな隙間を埋めているのも、またエンジンオイルなのです。

最後の防錆は説明するまでもないですね。ある程度の期間、エンジンを動かさなくても内部が錆付かないように、エンジン内部の部品に油膜を作っています。

オフロードでは低速ギヤを頻繁に使用するため、エンジンは高回転になりがち。それだけ負担がかかるため、高性能なエンジンオイルが適しています。

以上の説明からも、エンジンオイルがいかに大切なものかお分かりいただけたかと思います。エンジンオイルはエンジンのみならず、ターボ過給器にも同様の働きをしてくれます。クルマの血液、と呼ばれているのも分かりますね。さて、エンジンオイルと一口に言っても、実はいろいろな種類があります。

エンジンオイルを作る時、ベースオイルをまず作り、そこに添加剤を加えていきます。ベースオイルは100%鉱物油から精製したもの、逆に全て鉱物油を化学分解して作ったもの、そして鉱物油に20〜30%の化学合成油をブレンドした部分合成油の3種類です。

100%鉱物油というと、イメージ的にはエコでクルマにも良さそうな感じがしますが、実は逆。鉱物油は組成分子がバラバラなため、性能低下が早くなりがちです。オイルが劣化すると、エンジンに必要な潤滑(オイル粘度)が得られず、また冷却効果が下がって、エンジンにトラブルが発生しやすくなります。また清浄効果も低下するため、排ガスが汚くなったりもします。

反対に100%化学合成で作られたオイルは、クルマにとって理想的な性能を持たせることができる反面、製造コストがかかるために高価になりがちです。そこで、コストを抑えつつ高い性能を持たせているのが、部分合成油というわけです。

さて、ジムニーのK6Aエンジンは内部の圧縮が非常に高く、また高回転型のエンジン。ですので、エンジンにかかる負担、そしてオイルにかかる負担は相当なものです。もちろん純正オイルでもエンジンが壊れないようにできていますが、やはりコストの点で最低限の性能のものが使われているのです。ですので、エンジンオイルを高性能なものに変えるだけで、エンジン性能を向上させることができます。

APIOは、国際ラリーレイドという過酷なモータースポーツシーンから得たノウハウを使って、JB23型に限らずあらゆるジムニーに適したエンジンオイルを作りました。それが「ROADWINエンジンオイル」です。

何度もテストを繰り返して、ジムニーのエンジンにもっとも適した鉱物油と化学合成油のブレンド比を探り当てました。古いジムニーのエンジンでもオイル沁みすることなく、優れた性能を発揮。もちろん最新型のエンジンでも、フリクションを抑えて熱だれを防ぎ、パワフルでレスポンスに優れたエンジンフィールを実現してくれます。

また純正エンジンオイルの時よりも静粛性が向上するため、不快なノイズや振動から解放されるというメリットもあります。

この、推奨交換時期は約3500km。昨今ではエコを主眼としたロングライフのエンジンオイルもありますが、小排気量で常に全開で動くことを要求されるジムニーのエンジンにとっては、オイルとしての性能が低下し始めたら、すぐに交換することがトラブル防止の第一歩と言えるでしょう。


さて今回は、手軽にエンジンチューニングができて、その効果が実感しやすいエアフィルターとエンジンオイルの交換という手法をご紹介しました。それほど予算を必要とせず、しかも動力性能がすぐに向上できるので、皆さんもぜひお試しください。

<文/山崎友貴>

  • 前の記事

関連ページ

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.6]サスペンションとチューニング後編

前回はサスペンションの基礎知識についてお伝えしました。 今回はジムニーのサスペンションチューニングと...

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.5]サスペンションとチューニング前編

クルマを構成するパーツの中で、大切なのがサスペンションです。 サスペンションがなければ、クルマはまと...

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.4]タイヤ選びの基礎知識

ジムニーに限らず、クルマのポテンシャルを引き出す上で大切なのがタイヤ選びです。 特にクロカン4WDや...

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.3]はじめての雪道ドライブ

雪道は4WDの実力を実感するのにうってつけのシーンであり、 またジムニーオーナーにとって楽しさを満喫...

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.2]フラットダートから始めよう

前回はジムニーの4WDの特性などについてご紹介したが 今回はいよいよオフロードの走り方について。 オ...

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.1]クロカン4WDってナンダ?

「ジムニーってどんなクルマ?」「どんなことができるの?」 そんな疑問に答えるために、今月からスタート...