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森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶
VOL.019
暖冬と黒蔵
暖冬と黒蔵

森に、冬を探しに来た。
いつものようにそこには凍りついた川や、雪に覆われた草木があるはずだと。
しかしそこにあったのは、まるで春のような陽気だった。

冬はどこへいったのだろう

私は冬の森が好きだ。
モノクロームのような世界が静けさをまとい、岩から染み出した水が凍りつき輝いているあの様子が美しい。
そんな想像をしながら相棒の黒蔵(ジムニーシエラ)のアクセルを踏む。
一応事前情報として雪があまり無いということは確認済みだが、それでも冬の森のイメージを消しきれてはいなかった。
どんな光景に出会えるかと心を踊らせ、いつものように愛する奥多摩に着く
そこには、私が想像していた冬の光景は微塵もなかった。

今年はどこも雪が少ない状態だということはわかっていた。
しかしまさかここまでとは、、、
いつもこの時期は凍りついている場所には、サラサラと流れる清らかな水が。
そして雪に覆われているはずの林道はまるで春のようだった。
奥多摩はどこに目をやっても杉が眼に映る。
その杉も季節や天候によって様々な表情を見せてくれるから私は好きだ。
しかし、ある季節だけは杉を受け入れるのが厳しい。
それは、花粉の季節だ。
いつもならばもう少し先のはずなのだが、既に花粉を飛ばしはじめている。
光が当たり輝く美しい杉の木に危機感を感じながら、森を駆け抜けていった。

ここ最近何度かに渡って奥多摩を訪れている。
私が一番好きな奥多摩の姿は、やはり霧に覆われている時だ。
前日に雨が降った日の朝は最高だ。
早朝に現地に入れば、山を覆い尽くす深い霧と出会うことができる。
奥多摩の地形はV字のため、霧がたまりやすい。
そのため、長時間美しい光の世界を楽しめるのだ。
そんな林道を車で走るのがどれだけ楽しいか想像に難しくないだろう。
とはいえ前回も記述したように現在の林道はダメージが大きく、ルートの選択に限りがあるのが辛い。
林道修復には優先順位があるだろうし、そこに携わっている方々には頭が上がらない思いだ。

私が初めて林道という存在を知り、その世界に引き込まれた場所はこの奥多摩だ。
林道を教えてくださった、とある方には感謝しきれない。
その出会いは現在の自分のスタイルの基盤を作る一因になっている。
人の在り方は様々な出会いで形成されていくものだが、私は出会いに恵まれていると心から思っている。
奥多摩の林道を走るたびに、それを深く想う。
さて、先ほど記述した通りもう花粉の季節だ。
今から覚悟を決めて、早め早めに撮影をしなければいけない。
次はどのような記事を書くことができるか、今から楽しみだ。

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