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14.07.25

【vol.26-1】日本再発見ジムニー探検隊>>常陸国の中心で獅子頭が叫ぶ[石岡]

東京からジムニーで2時間弱の茨城県石岡市。
いまはのんびりとした地方都市だが、ここにはかつて常陸国の国府があった。
筑波山や加波山に囲まれた盆地だが、関東とは思えないダイナミックな風景が広がっている。
今回はちょっと寄り道もしながら、石岡市を探検してみよう。

画像をクリックすると拡大します(スマホ、タブレット一部機種を除く)。

復元整備が進む筑波の名城

今年、復元事業が完了する小田城跡。往年の姿が蘇りつつある。

都心からジムニーを走らせ、外環道から常磐道へと道を乗り継ぐ。今回から当分、河野隊長は多忙のため探検隊をお休み。久しぶりのひとり旅で少々寂しさが募る。

土浦北ICで降りて、筑波山を見つつ桜川市方面へ。田園地帯が広がるのどかな場所だ。古代から筑波山は霊山として崇められてきたせいか、この地域には不思議な土地の力のようなものを感じるのは気のせいだろうか。緑鮮やかな水田を横目に県道41号線を走り続けていると、ふと「小田城跡」という新しい看板が目に入った。

ここら辺は何度か走っているが、いままで城跡の看板に気づかなかったなんて…。この辺だと真壁城とか有名だが、はて小田城なんて聞いたことがない。まだ先が長いので急ぐ必要があるが、うーん気になるのでUターン!

小さな集落を抜け、ジムニーでもようやくの道を走っていくと、やがて青々とした緑に覆われた土塁らしきものが見えた。空き地にクルマを駐めて降りてみると、想像以上に規模の大きな城跡である。

上)本丸涼台の脇には小田城跡の石碑が残る。下)南西馬出跡。今は兵どもも夢の跡だ。

小田城はその名の通り、小田氏が鎌倉時代から戦国時代まで城主をつとめた城なんだとか。小田氏の先祖は八田知家といい、源頼朝の信任が厚かった武士。最初の常陸守護を任じられたらしい。その後北条氏のその座を奪われてしまうが、7代目の小田治久になると勢力を回復。戦国時代になると後北条氏と結び、近隣の大名と闘いを繰り返すが、上杉謙信と佐竹氏の連合軍により落城。1602年には廃城となっている。

13世紀から長きにわたって存在する小田城は、時代と共に盛り土が施されて、徐々に姿を変えていたようだ。最盛期には東西約1km、南北約700mという大きな平山城になっていた。僕がいま見ているのは主郭の部分だけで、ほんの一部にすぎない。古地図を確認したら、複雑に水堀が張り巡らされており、その中には「枡形」を確認することもできる。

現在、小田城跡は園地として生まれ変わるため、最後の整備事業を行っているようだが、中に入れるようだったので、ちょっとお邪魔した。本丸部分はさほど広くないが、足利将軍邸と共通する建物群や園地の配置などが見られるということで、かなり格式の高い家柄だったようである。

いまは空堀だが、復元された部分だけでも水を戻したら、かなり壮観に違いない。今年中には駐車場やトイレなども整備されるようなので、城マニアの方々は寄っていただきたい。中世の城もなかなかダイナミックでいいものだ。

ジムニーパラダイスな“険道”218号線

もはや河川と化している県道281号線。ノーマルジムニーはちょっとキツい?!

県道41号線を北に走り続けると、真壁町白井という地区で県道218号線にぶつかる。ちょうど筑波山のほうに右折するような道だ。農村地帯ののどかな県道だが、どんどん突き進んでいくといきなりダートになる。そしてそこに、「通行不能」の看板。「通行止め」ではない。「不能」なのである。もはや通行することがかなわないのである。

この218号線こそ、オフロードファンの間で“険道218号”と呼ばれている、超弩級のダート県道なのである。この道は真壁町から一本杉峠を越えて石岡市に抜けられるのだが、とにかく真壁側がとてつもなく荒れているらしい。これはちょっと面白いということで、今回ここを通って石岡市に向かうことにしたのである。

さてスタートしてすぐに、道はいやーなガレ場だ。というのも、筑波山や加波山は真壁石という良質な石材が採れる地域で、それゆえに道もガレている。というか、採石したクズを荒れた道に蒔いているような気もする。石は尖っていて、油断するとタイヤバーストにつながりそうだ。

一見フラットだが前進するためにかなりの駆動トルクが必要なため、すぐに4Lのスイッチを押した。採石所を右手に見ながら杉林の中に入ると、昨夜の雨かそれとも地下水か、道を川のように流れている。路面の土は流れ、ちょっとしたオフテクが必要だ。林道を初めて走るという読者は、絶対に立ち入らないほうがいい。

どんどん路面の岩が大きくなり、TSシリーズで来て良かったと胸をなで下ろす。しかし、できればフロントのトラベル量が変えられる「悟空」を装着したバンビー1号のほうが良かった…。

途中から路面はもはや「河原」。万全を期して今回は走破断念。

ザーザー水が流れるダートを突き進み、キャンバーになったりロックになったりと忙しかったが、ブラインドコーナーを越えたら、そこには手強い風景が。岩でかい…。ライン取りで何とか越えられそうだが、その近辺の岩には幾筋もヒットした痕が残っている。

今日は独りだし、ここで亀の子になったら単独では到底脱出できない。しかもタイヤはAT。でも先に進みたい…。10分ほど頭でグルグル回っていたが、今日はまだ探検が残っているので引き返すことにした。ここは尾上大隊長と河野隊長を連れて、是非ともリベンジしたい道である。

なんとかUターンをして戻っていくと、JA11を先頭に3台のジムニー軍団が突き進んでくる。「こんにちはー」とすれ違いざまに声をかけると、軍団は埼玉からわざわざ遠征してきているのだという。しかも面白いコースなので、定期的に来るそうだ。どのジムニーもかなり足と下回りをいじっているようなので、結構行けてしまうのだろう。

一緒に付いて行こうかな…と一瞬思ったが、またUターンするのも大変なので、次回のチャレンジにすることにした。下に降りると、空き地でトライアルバイク軍団が出撃準備中であり、どうやらこの県道はオフロードパラダイスになっているようだ。大抵は通行止めになってしまうのだが、ゲートも作られずによく生き残っているものである。

ジムニーにアタックする場合、とにかくバイクの飛び出しが多いので、十分に気をつけて行ってほしい。

穴場の絶景スポット“東の清水寺”

峰寺山西光寺は懸造という清水寺に似た構造で建てられている。

県道218号線走破を断念し、県道7号線をゆったりと進む。これも山道だが、218号線に比べれば天国のような道路である。そのまま7号線を走ると石岡市内に入るのだが、再び寄り道していこう。目指すは「峰寺山西光寺」だ。

この西光寺は、開山がなんと807年という古刹。平安時代に、こんな山中で仏の道を極めんと修行した人がいるのだから、何とも頭が下がる。それに比べると、隊長も僕も山岡巨匠もまるっきり物欲にまみれた世俗人間である。まあ、物欲道を極めんと修行しているのだが。

当初、この寺は法相宗だったが、その真言宗に代わり、現在は天台宗となっている。住職が代わることで、宗派が代わるのかもしれない。お寺は何かと話題のD級動物園「東筑波ユートピア」のすぐ横にあった。山門などはなく、普通の家みたいな門があるだけだ。実にシンプルでいい。

参道というか取り付け道路というか…をしばし歩くと、庫裡らしき家が。庭先ではショーウインドウにお守りなんかが入っており、意図しているわけではないだんろうが、B級の香りがプンプンする。ちょっと不安だ。

庫裡の隣には仏様が祀られているお堂が建っている。入ってみると5mを越える木製の仏像があった。「立木観音菩薩像」と呼ばれる仏像で、その名の通り、1本の木から造られているのである。お世辞にも美人の菩薩ではないが、1本の木の神々しさみたいなエネルギーが出ていて、見ていると圧倒されてしまう。

西光寺本堂から石岡盆地を眺める。思わず一句ひねりたくなる景色だ。

そこからすぐの所にお待ちかねの本堂がある。近づいていくと、確かに清水寺みたいな造りになっている。懸造、もしくは舞台造りといい、本家と似ていることから「東の清水寺」と呼ばれているらしい。

本尊は馬頭観音なのだが、そもそもこのお堂は石に彫られた観音像を覆うように建てられているらしい。ご本尊は扉でよく見えなかったが、裏に回ると巨石があるので、きっとこの岩に掘られているのだろう。

現在建っている本堂は幕末期のものらしいが、これは火事で再建されたものだということが分かっており、オリジナルは相当古くに建てられたようだ。

本尊の前には回廊があり、ここから見下ろす石岡盆地は素晴らしい景観だ。山寺の静寂な空間にセミが森で鳴いており、思わず「静かさや岩にしみ入る蝉の声」という秀逸な一句を詠んでしまった。

戯れ言は流していただいて、とにかく素晴らしい名刹である。ただ、境内でマナーを守らぬ輩が多いようで、いろいろと注意が書かれた看板が残念だった。あくまでもお寺なので、敬虔な気持ちで訪れていただきたい。

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