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17.04.16

アピオジムニーTS ダートトリップ@レッツゴー4WD【vol.1】

今回より雑誌『レッツゴー4WD』とのコラボレーションでスタートする同企画。
同名の記事とは別視点で、旅のルートをレポート。
本誌の記事共々、林道と観光スポット、グルメを探す旅をお楽しみください!

<写真をクリックすると、拡大とキャプション表示ができます>

富士川の河口には東京大阪間ではすっかり珍しくなった、クルマで走れる砂浜がある。ジムニーの能力が体感できるステージのひとつだ。

その企画は突然降って湧いたかのようにやってきた。レッツゴー4WDとアピオのコラボ記事で林道を走るというものだったが、光栄なことに僕と山岡“巨匠”カメラマンのご指名だった。

山岡巨匠はTVでも紹介されたことのある「林道の達人」なので、軟弱編集者の僕など恐れ多いカップリングである。一応、そういうことにしておきたい。ただ、山岡巨匠の林道の経験値はホンモノだ。1か月の内、一体どれくらい林道に撮影に出かけているのだろうか。達人というよりは、もはや鉄人に近い。いや、林道の神と言ってもいいのではないだろうか。

だが、この神は面倒くさい。つまらない林道だと、全然ノラないのである。生欠伸を繰り返し、やる気がないオーラを全開にする。だから、組む編集者はまず、林道選びの時点で緊張することになる。林道と言ってもご存じの通り、現代の日本では「絶滅危惧種」だ。舗装がどんどん進み、ダートでもゲートでシャットアウトしている道が増え続けている。

その上、冬季は閉鎖する林道がほとんどで、ゲートが開いている路線を探すのは実に手間がかかるのだ。

それはさておき、林道を探すのは大変だ。それに加えて、せっかく探しても「ええ〜、そんなクソみたいな林道」のひと言で、神に却下されることもザラだ。レッツゴー4WDでの初連載ということもあって気合いを入れたかったが、3月ということもあって、地域が限定されてくる。千葉と静岡方面を探していたところ、ふと頭にあるキーワードが浮かんだ。

「桜エビ」

林道の神はまったく興味がないようだが、僕はご当地のグルメが大好きだ。特に旬のものは最高である。3月下旬になると、駿河湾では桜エビ漁が解禁になるはずだ。ということで、桜エビのメッカである静岡県由比町の付近で林道を探し、それにかこつけて桜エビと温泉で贅沢をすることにした。

林道走行の前に桜エビで舌鼓

桜エビの町・由比は、かつて東海道五十三次16番目の宿場町として賑わっていた。

由比は小さな漁港町だが、春先になると全国から大勢の人が押し寄せる。それは由比が、全国でも珍しい桜エビの水揚げ地だからだ。桜エビは東京湾、相模湾にも生息するが、漁獲しているのは駿河湾だけなのである。由比の街中を走ると、多くの桜エビに関する店を見つけることができる。

そしてこの町は同時に、東海道五十三次の16番目の宿場町でもあった。由比の西側には「東海道の親不知」と言われた難所、薩った峠がある。太平洋の断崖絶壁を越える人、越えた人が由比宿で、しばしの休息を取ったのである。

ちなみに江戸時代に幕府に対して乱を起こした由井正雪は、この由比宿の紺屋の跡継ぎで、その店は今も本陣跡前に残っている。藍で染めた洒落た巾着などを売っているので、女性などにはたまらないと思う。

さて、とにかくここではは桜エビを食すことが目的なので、本陣跡近くの料理店に入った。実は取材に行ったのは3月20日で、桜エビ漁解禁は3月21日。残念ながら、食べられるのは冷凍ものだけということだった。

だが最近の冷凍技術は素晴らしい。桜エビの食感や味を損なうことなく、料理の味に活かされている。ただしこれからは、生の新鮮なものをいただくことができるので、皆さんもぜひ試していただきたい。ちなみに由比漁港に漁協直営の店が開かれ、ここがリーズナブルで美味しい。土日祝日はかなり並ぶので、それは覚悟しておいたほうがいいだろう。

ちなみに山岡巨匠は相変わらず何の感動もなく食べていたが、デザートで付いていた蜜柑が「美味い!」と言って食べていた。由比は蜜柑の産地としても有名で、こちらもぜひお試しいただきたい。

フォッサマグナは山深く林道も急峻

竹林の中を走る万沢大峠線。地盤が弱いため、竹を植えたのだろうか。

皆さんは「糸魚川静岡構造線」というのを聞いたことがあるだろうか。地質学上、東北日本と西南日本の境目で、別名を「フォッサマグナ」という。北は糸魚川市から始まるのだが、南は諸説あって、由比がスタート地点という説もある。

このフォッサマグナ上には南アルプス、中央アルプス、北アルプスという「日本の屋根」が並んでいる。今回の目的地のひとつである「林道万沢大峠線」や「林道剣抜大洞線」もこの構造線上に存在し、南アルプスのほど近くにある。

海辺の町・由比から国道52号と県道811号を使い、どんどん山奥へと踏み込む。行政区も静岡県から山梨県へと入り、身延というインデックスが多く見られるようになった。万沢という集落から、いよいよ林道に入るが、食後で眠い二人はどうもテンションが上がらない。しかも、先ほどから雨の降り出し、コンディションは最悪だ。

本当は林道の途中で見える富士山を写真におさめようと張り切っていたのだが、今回はその絵も望めそうにない。助手席の巨匠は、まるで口からエクトプラズムが出たような顔をしている。だが林道こそ、この企画のメインであり、一発気合いを入れ直さないといけない。

林道に入ると、すぐに花崗岩の堆積地層が現れた。実はかつて雑誌の企画で化石堀りをして以来、地層を見ると胸が躍ってしまう。巨匠の口にエクトプラズムを戻して、早速撮影に入る。ちなみに南アルプス周辺は花崗岩地層の場所が多く、山などももろい所が多い。この地層も手でポロポロと剥がれてくる。

そのポイントから離れると、いきなり竹林が広がってきた。しかもそれがずっと続いている。林道の神いわく、全国でもこのように竹林が続く林道は、非常に珍しいらしい。それが理由なのかどうかは分からないが、いきなり創作意欲爆発でシャッターを切りはじめた。まだ冬の竹は色が浅いが、雨に濡れると実に美しい。

林道は20分も走ると終わり、大峠からまた県道をしばらく走る。途中、奥山温泉という鄙びた町営温泉に入るのを楽しみにしていたが、運悪く休館日だった。この露天風呂は実に素晴らしいので、諸兄もぜひ立ち寄っていただきたい。

林道剣抜大洞線は針葉樹林帯を走り抜ける美しい林道だ。同時に脆い法面が多い林道で、至る所で岩が崩れている。

奥山温泉の脇の道を上っていけば、林道剣抜大洞線に自然と入る。この林道は部分部分で舗装化が進んでいるが、その舗装も降雪や風化で荒れており、実質はダートとなっている。しかも花崗岩の法面が崩れており、危険な箇所があるので要注意だ。

林道は頭上に、北岳や間ノ岳といった南アルプスの名山を望みながら進む。下部は杉林が多かったが、急峻な坂を登っていくにつれ、周囲は唐松や赤松などの針葉樹が多くなっていく。

林道の峠は「月夜の段」という素敵な名前が付いた場所の付近になる。昔は針葉樹が生い茂り、月の光しか下に届かない、昼でも月夜のように暗いということで名前が付いたらしい。

ただし今は間伐も進み、冬枯れしていたこともあって、比較的明るい空間になっている。これから夏に向かうに連れ、この辺りもいい雰囲気になっていくだろう。

下る途中、大規模な土砂崩れが道を塞いでいた。たじろいでいると、神が「こんな土砂崩れ、屁でもねえ」と仰せになる。いやー、通れるけど十分凄い崩れ方だと思うけどな…と思いながらも、通過するシーンの撮影をとりあえず行った。

車内で「ここで上から巨石が落ちてきて、巨匠を連れ去ったらおもしろいんだけどな〜」とよからぬことを想像しながら、上からの落石にビビリまくる。よく読者諸兄から「楽しそうなお仕事ですよね」と言っていただくが、楽しいけれど結構命掛けなのだ。

旅の締めくくりは崖崩れ通行止め

下部温泉の祐貴屋温泉の岩風呂。湧かす前は30度くらいの温泉で、ぶっちゃけプールだ。

林道を下りて今宵の宿に着いた時は、あたりはすっかり暮れていた。山梨県下部温泉は、武田信玄の隠し湯と言われているが、実際は隠してはいなかった。代々武田家の公認の湯治場で、戦で傷付いた一族郎党がここで癒やしたのだという。近くに、昭和の雰囲気のいい駅があって、そこからしばらく登ると、これまた昭和の雰囲気に溢れたいい温泉場となる。

山岡巨匠は林道のみならず、温泉宿にもうるさい。ちょっとでも変な宿だと、ディスりが始まるので、宿選びも油断できない。事前に「俺が探す」と言っていたが、予約が取れなくなると困るので、僕の審美眼で一応選んでおいた。それが「裕貴屋」だ。大正時代の建物をそのまま使っている宿で、宿泊者のクチコミ評価も高いので選んだ。

巨匠も同じ宿をチェックしていたらしいので、まあ外しても文句は少ないはず。宿は感じのいい女将さんと大人しめの旦那、そしておばさんたちが営んでいたが、実に感じが良くて居心地もなかなかだ。風呂は内湯、貸し切り露天風呂、岩風呂の3つがある。

絵になるのは岩風呂ということで、入ったのだが、これが源泉30度という冷たさ。写真では心地良さそうに入っているのだが、実は唇がムラサキになりかけていた。あやうく、ディカプリオばりに浴槽の底に沈んでいくところだ。

もちろん温かい風呂は気持ちが良く、身体も心も癒やしてくれた。料理の質も量も申し分なく、巨匠もコーラを飲みながら(巨匠は酒が飲めない)素朴な料理の味を堪能していた。

翌朝目覚めると、昨日とは打って変わって晴天。これはもう1本林道を走って、いいパノラマを撮りたいと思い、地図を見ながら山に入ってみた。この付近は古より、身延山詣での街道筋が通っている。山深い道を登りながら、江戸の人々は信仰の山に向かったのだ。そのため、今もとんでもない山奥に当時の参拝客の拠点となった宿場の集落が残っている。

そうした集落を越えて、林道へと入るのだが、どこもゲートが閉まっており通過できない。戻っては入りを繰り返し、何度目かの林道でいよいよ北岳が見えてきた。これは! と意気込んだのもつかの間、大規模な崖崩れで地元の人が工事をしていた。聞くと、すぐの復旧は不可能ということで、こここで今回の旅は幕を閉じた。

フォッサマグナ沿いには、まだまだ魅力的な林道が存在する。それらはGWを過ぎるとゲートが開けられ、いよいよシーズンインとなる。機会があれば、またこの構造線上にある別な林道もご紹介しよう。

<文/山崎友貴 写真/山岡和正 協力/レッツゴー4WD編集部>

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