登録有形文化財となっている『湯之島館』の本館は荘厳な佇まいを見せる。
そして数寄屋造りの部屋から樹齢数百年の杉や桧が立ち並ぶ庭園を見渡すと、昭和初期にタイプスリップしたかのような気分に浸れるのだ。
日本三名泉と称されている温泉の気持ちよさは言わずもがな。
2日目は悪天候のために他の林道を走れなかったが、それを残念と思わせないほど、宿で至福のひと時を過ごしたのであった。
下呂市内で河野さんが選んだのは蕎麦料理「中佐」。純和風な店構えと立派な看板から「美味いオーラ」が漂っている。最高の蕎麦を目指して、蕎麦の実は奥飛騨産と長野産の手刈り、天日干しのみを使用。さらに手回しの石臼とふるいを用いて自家製粉した手造り蕎麦を提供している、超こだわりの店だ。気になる味は…さすがに美味い!
Yカメ:「やっぱり美味いですね〜」
筆者:「さすが河野さん、鼻がききますね!」
河野さん:「どうも!」
筆者:「正直、値段にも驚いたけど(笑)」
河野さん:「ボクも驚きました(笑)」
Yカメ:「だよね〜」
昼食時間をやや過ぎていたが、空いていたのは一卓のみ。やはりかなりの人気店である。味と手間暇を考慮したら納得の値段だが、我々の空腹を満たすには麺の量が足りなかった…。
まだ林道を走れる時間ではあったが、雨足が強くなり暗くなってきたので、予定よりも早いが(もちろんチェックイン時間は過ぎている)宿に向かうことに。今回のメインイベント、湯之島館で温泉と登録有形文化財を堪能するのだ!
湯之島館は山中に佇み、下呂温泉の街並みを眼下に望めるという素晴らしいロケーション。5万坪もの広大な敷地を持ち、本館に加えて別館、貴賓室、洋館が木々の間を縫うように建てられている、とても大規模な温泉旅館だ。
登録有形文化財の本館は非常に趣深く、客室の居心地の良さも申し分なし。そして部屋でゆったり寛ぐのもいいが、館内を散策するのも楽しい。展望台や洋館にある昭和浪漫を感じさせるクラブ『ムーンライト』、庭園を眺めながら浸かれる『足湯』など見所が満載なのだ。
湯船は露天風呂と大浴場の他に4タイプの貸切家族風呂を備えている(温泉付きの部屋もあり)。露天風呂と大浴場は開放感がバツグン! 下呂温泉の街並みを望め、ぬるめの温泉と合わせて、ゆったり気分で浸かれるのだ。お湯は無色透明でほぼ無臭だが、肌が滑らかになり、入浴後も長時間に渡り体を心から温める。さすが日本三名泉のひとつ、非常に気持ちの良い、心身ともに寛げる温泉だ。
夕食は今となっては珍しい、各部屋で食すスタイルをとっている。メニューは豊富で、ボリュームも満点以上! 厳選された旬の食材を上手に活かしており、味付けは「さすが!」のひと言。本当に美味しかったな〜。
大きな勢力を備えた低気圧が襲ってきたため、1日目の夜から天気が大荒れとなった。翌朝目覚めた時も雨がまだまだ強く、テレビニュースでは、床上&床下浸水、河川氾濫、電車運休の情報が次々と流れていた。
河野さん:「これじゃ林道は無理ですね」
Yカメ:「我々が林道でトラブル起こしたら洒落にならないもんな」
筆者:「高速道路が通行止めにならなきゃいいけど…」
河野さん:「そうなったらヤバいですね」
Yカメ:「天気は回復しそうだけど、このまま帰宅してもいいんじゃない?」
せっかくここまで来たからもう1本くらい林道を…という思いはあるが、天候には勝てない。まぁ林道は昨日20km走ったし、温泉も名湯に浸かったから、すでに満足度は100%を超えている。全員の意見が一致して直帰することに決めたが、往路を走った道をそのまま帰るのはつまらないので、少し北上して開田高原を通って高速に乗るルートを選んだ。
河野さん:「開田高原を通るなら、蕎麦を食べましょう! オススメの店があります」
筆者:「いいですね〜。そこは腹一杯になりますか(笑)」
河野さん:「大丈夫です!」
Yカメ:「ついでにソフトクリームを食べようぜ! トウモロコシのソフトクリームが美味いらしいぞ」
ということで、『手打そば 高原食堂』と『開田高原アイスクリーム工房』に立ち寄って、『蕎麦』と『とうもろこしソフトクリーム』を食することに。宿を出た時は雨が強かったが、いつの間にか止み、開田高原に着く頃には太陽が雲間から顔を見せていた。
『手打そば 高原食堂』と『開田高原アイスクリーム工房』だが、平日にも関わらず多くの客が訪れていた。その人気通り、両店共に大満足の美味さだ! ツーリング好きな人なら、是非とも立ち寄りスポットに加えていただきたいお店である。
今回は(も!)、林道を1本しか走らなかった…。えっ? 観光スポットの紹介が多すぎる? いやいや、そもそもが『温泉宿に泊まるツーリングに林道走行を加える』を趣旨とした旅である。だからこれでいいのだ!