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ON THE STREET BURGER
VOL.010
2014年空の旅~WeST PArK CaFE HANEDA [東京・羽田空港第2ビル]
2014年空の旅~WeST PArK CaFE HANEDA [東京・羽田空港第2ビル]

青い海に 映える影――
東京の空の玄関口・羽田空港で
得られるものは夢とくつろぎ、そしてバーガー。

国際線ターミナルをバックにコンプリートカーTS7

私はこの記事をいま空港で書いている。羽田空港第2旅客ターミナルビル3F。出発ロビーの上に張り出した「テラスレストラン」と呼ばれる一角。ここが落ち着くのだ。


まず鉄道駅に数倍するその巨大な空間のゆとりが心地好い。ビルの狭間・谷間で無いので館内は明るい光に溢れ、展望デッキに上がれば都内でも屈指の大空を手にすることができる――。

羽田空港でお茶を

絶えず人の動きがある。旅立つ人もいれば、郷里へ帰る人もいる

そして絶えず人の動きがある。旅立つ人もいれば、郷里へ帰る人もいる。御国言葉で話す人、外国の言葉を話す人。カートいっぱいに荷物を積んで重そうに押す旅行客もいれば、軽やかにキャリーを引くCAもいる。手土産提げた出張帰りのサラリーマンに、ベールを被ったシスター……裸足で歩いている人もいる。高所恐怖症なのだろうか。


そうした様々な目的・職業・国籍を持つ人々が行き交う中、誰を見送るでも出迎えるでもなく、自分一人じっと動かずに、こうして作業をしながら過ごす一日というのも悪くない。その居心地を知ってか、同じようにずっとノートPCを覗き込んでいる人や、何時間と話し込む人の姿が何組となく見られた。

手前から3機目に今年3月に退役するボーイング747-400、ジャンボジェット。展望デッキからは東京が一望できる

3Fテラスの中央に近い「WeST PArK CaFE(ウェストパークカフェ、WPC)」の前に並ぶ白いテラス席は誰もが自由に利用できる場所だ。出発ロビーを見下ろすこの位置がゆったりしていて特に好い。「WeST PArK CaFE EXPRESS」でアイスティーを買い求め、準備万端、さぁ記事書きでも始めようかといざPCに向かうと……店から聞こえてくる音楽がどうも好くない。何とも趣きに欠けるのだ。


だからBGMは持参した。まさに「こういう場のための」音楽である。14、15年も前に作っていたものだ。この際少しご披露しよう。シナトラの"Come Fly With Me"で始まるその曲集のタイトルは「空の旅」――。

アイスティーを買い求め、準備万端、さぁ記事書きでも始めようかといざPCに向かうと……

ラヴ・アンリミテッド・オーケストラ「愛のテーマ」、フィフス・ディメンションの"Up, Up And Away"、これらは航空会社のCFソングに使われていた曲だ。ランディ・クロフォード"One Day I'll Fly Away"、ジャコ・パストリアス"3 Views Of A Secret"などを経て、締めはポール・ヤングの"Everytime You Go Away"。アルバム版を聴けば解る通り、これも明らかに「空」の曲である。


浮遊感のある、夢見るようなこうした音楽が最近めっきり少なくなった。歌詞がどんなにロマンティックでも、今の流行り歌には音の響きに夢を感じない。しかし空港には今も変わらず「夢」がある。格安で飛べる時代になっても、かつて高嶺の花だった頃の良き優雅さが今も残っている。


そして鉄路・海路の旅とはまた違う、明るい旅情がある。そんな優雅な場所の片隅で過ごすひと時は、やはり等しく優雅であり、階下で起こるのと同じ旅情をまた胸にすることができるのだ。このまま何の用意も無く、ふと飛び立ってしまいたくもなる――。

1996年創業

2004年、第2ビル開業当初から入っているので今年で10年

滑走路の側では無いので離着陸の様子を見ることはできないが、ウェストパークカフェにはその分ゆったりとした落ち着きがある。2004年、第2ビル開業当初から入っているので今年で10年。板張りの床の擦り減り様がその年月を物語っている。斜めに張ってあるのがまたカッコよい。


本店は代々木上原。幼少期をアメリカで過ごした社長が1996年、勤めを辞めて始めた、社長念願のアメリカンレストランである。当時こうした外国人の口に合う店が少なかった頃でもあり、自慢のロティサリーチキンを筆頭に話題を呼んだ。現在丸ビルなどに直営4店。昨秋、御殿場のアウトレットモールにもオープンした。

床板が斜めに張ってあるのがまたカッコよい

3Fの「EXPRESS」、5F展望デッキにある「SKY FOUNTAIN」と、羽田空港にはWPCブランドが計3店あり、いずれもFC経営。成田空港にも直営の「EXPRESS」を出しており、まさに東京の空の玄関口、一手に引き受けます――といった勢いだ。


空港内の施設は特に防災に厳しく、位置によっては火を使えない店もある。厨房は見るからに手狭だ。だがその狭いオープンキッチンで手間の掛かる調理をしているのには正直驚いた。本店と同様、ハンバーガーはパティの表裏をチャコールで焼き、その後オーブンに入れ加熱、最後にもう一度片面をチャコールで焼くという、こうした施設で供されるものとしては考え難いぐらいの手間の掛け様なのだ。

手を抜くことはしない

一人静かに仕事をするにも、家族で休日を過ごすにも、あらためて魅力的な場所である

パスタやピッツァもあるが、メインはあくまでバーガー。全6品の中から、この日は売れ筋アヴォカドチーズバーガー1,500円。本店との違いは、一つはパティのサイズ。本店は220g、羽田は180g。もう一つはバンズで、グラハム地のものを使っている。ポテトは羽田がシューストリング、本店は皮付きの自家製。


パティの焼き方が上手い。豪州産牛100%つなぎ無し。隙無くしっかり詰まった感じのパティだが適度な肉粒感があり、中はきれいな桜色。しっかり付けたコゲの苦味がジンと利いて、そこへコゲ味に同調するマイルドなアボカドの軽い苦味。トマトは2枚。オニオンはレッドをグリル。


全体にやり過ぎない自然な味付け。あくまで「肉」を中心に据えた、「肉」をおいしく食べさせるバーガー。食欲そそる香ばしい匂いが何よりそれをよく語っている。まさかこんな場でこんなおいしいハンバーガーが食べられるとは思いもしなかった。「手を抜くことはしない」と本店GM・小川さん。


§ §


ちょっと足を延ばせば、すぐそこにある空の玄関口。一人静かに仕事をするにも、家族で休日を過ごすにも、あらためて魅力的な場所である。特に冬場は晴れ渡った空が気持ち好い。もちろんジムニーを走らすにもこの上ない、真冬二月の青空だ。

< 文:松原好秀 写真:松原好秀、坂上哲也 >

WeST PArK CaFE HANEDA [羽田空港第2ビル]

― shop data ―
●WeST PArK CaFE HANEDA
所在地: 東京都大田区羽田空港3-4 羽田空港第2旅客ターミナル3F
アクセス: 首都高速湾岸線「空港中央」「湾岸環八」出口ほか
駐車場: P3・P4駐車場利用
TEL: 03-6428-8535
URL: http://www.maysfood.com/wpc/wpc_haneda.html
オープン: 2004年12月
営業時間: 7:00~20:30(LO20:00)
定休日: 無休(要確認)

第2旅客ターミナルビルをバックに
広い展望デッキは家族連れにもマニアにも最高の遊び場
手前は復刻版ANAモヒカンジェット、奥に羽田の青い海
AIR DO機をちょっとミニチュア風にトリミング
「SKY FOUNTAIN」のスカイドッグ390円
営業は16時まで。生ビールやソフトクリームも販売
パスタやピッツァもあるが、メインはあくまでバーガー。自慢のロティサリーチキンも食べられる
羽田店限定のWPCオリジナルパウンドケーキ、セット780円
スカイアーチの向こうに第1ターミナル。館内は明るい光に溢れている
環八通りから第2ターミナルへ
管制塔とスカイアーチ。そして日は暮れる
駐機中の機体と