JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン

CATEGORY MENU

ジムニー車中泊・ひとり旅
VOL.037
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.37
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.37


ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.37 「長野県・須坂」
Traveling alone with jimny.



天空に広がる静かな平原で


ひとり、孤独を楽しんでみた



Photo & Text / 山岡和正

SPECIAL THANKS/五味池破風高原オートキャンプ場:紹介ページはこちら

雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。
ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
SNS:Facebook

ずっと気になっていたキャンプ場に、いつかは行こうと思っていた。 
魅力ある旅の目的地や、楽しそうな林道を探す手段にはSNSや様々なマップを使うのだが、その中でもグーグルアースなど鳥瞰的な視点で場所の状況が分かるものはとても参考になる。リアルタイムではないにしろ、林道の舗装状況もある程度までなら把握できるのもありがたい。
いつものように仮想飛行しながら旅先を探していると、長野市の西側にある山の山頂付近に広い草地のあるキャンプ場を見つけた。ビューポイントになっている毛無峠や、そこへのアクセス道路の一つでもあるメジャーな湯沢林道も近い。
ゴールデンウィークを過ぎた頃、季節も丁度良いと思い連絡してみたところ、予想外の返答に驚いた。
なんと、除雪が入っていなくて未だキャンプ場にアクセス出来ないという。よく調べてみると、確かに営業期間は6月から10月となっている。
もう少しで除雪が入り開けられるというので、少し早めで心苦しいところではあるが、誰もいないキャンプ場を満喫させていただくことにした。

長く狭い道のりの先に 極上のキャンプ場はあった

上信越自動車道を下りてすぐにガソリンを入れ食材を仕入れていると、時間は正午を過ぎてしまった。
野営の準備を考えると、これから林道へ入るには時間的に厳しそうだったので、とりあえずキャンプ場へ向かうことにする。麓の集落を抜けて高度を上げて行くのだが、かなりの急坂だ。山道に入っても急坂はそのままに、タイトなコーナーが続く。気圧のせいか耳の調子が悪くなり始めたので地図を確認すると、キャンプ場付近は高度1600mを超えている。高速道路の出口付近は300mほどしかないので、1300mを十数キロの距離で一気に登ることになる。どうりで、坂がきつい訳だ。

急坂のワインディングを越えると、立派なロッジとキャンプサイトが現れた。そこに、スタッフと思しき人がサイトの手入れをしている。
声をかけると、隣接している「つつじハウス」に案内され、そこでキャンプ場や地域の事で話が弾んだ。ふと気が付けば、もう日が傾き始めている。

少し焦りながら林道の話をすると、この上には元牧場があり、行き止まりになるけれど林道もあるという。通常は通行止めにしてあるが走ってもかまわないというので、広大な景色の中、開放感のあるダートを快走させてもらった。

スタッフの方は暗くなる前に下山するというので、文字通りこの場所ではひとりきりである。
牧草地に車を停めて遠くを眺めると雲海ほど明瞭ではないものの、霞の中に周囲の山々が浮かんでいてまるで水墨画のようだ。微かに揺らぐ長野市の夜景の向こう、雲と同化した北アルプスの陰に夕陽が消えていった。

マッドフラップを装備したJB64。ラリーに参戦する訳ではないのでドレスアップの意味合いが強いのだが、オフロードにおいて砂や砂利からボディーを守る効果は絶大だ。

白樺林を抜け、空へと続く道

牧場エリアの先は、白樺に囲まれた1本道のダートが延びていた。最終的には斜面になり道路は途切れるのだが、少し手前から見るとそれは空へ向かう滑走路のように見えた。

ご当地グルメの「牛乳パン」で一休み

地元のスーパーマーケットで地物を物色していたら「牛乳パン」を見つけたので、コーヒーブレイク用に入手。特に長野らしさがあるわけではないが、確かに美味い。それに合う苦めの珈琲を淹れるため、ザッセンハウスのミルを細引きにセットした。

ボリューミーなジンギスカン、あります

キャンプ場内にある「つつじハウス」でジンギスカンを頂く。ここはつつじの名所でもあり、その時期には花見客であふれるようだ。一見シンプルだが、肉にはしっかりと味が付いていて箸が止まらない。

山頂付近にあり高度が高いせいなのか、5月の朝は涼やかな空気に包まれていた。水やトイレといった最小限の設備に留めているので、中、上級者の好むキャンプ場といって良いだろう。ゆっくりと流れる時間と空間を静かに愉しみたい場所だ。