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ジム知る
VOL.004
ジム知る 第4回:ジムニー用タイヤのグレードアップを考える
ジム知る 第4回:ジムニー用タイヤのグレードアップを考える

ジムニーのカスタムには様々なメニューがあり、それはまさに"沼"と言えます。それだけジムニーの世界が奥深いということなのですが、初めてカスタムをするという人にとっては、何から手を付けたらいいのかわからないのではないでしょうか。そんな時は、まずタイヤのグレードアップから初めてみてはいかがでしょうか。

文・山崎友貴 
写真・山岡和正
協力・笠倉出版社

タイヤの性能を決定づけるトレッドパターンの意味

タイヤはクルマにとって、非常に大切な部品です。クルマの「進む」「曲がる」「止まる」という基本動作は、タイヤの働きによって行われるからです。また車両の重量を支え、凸凹のある道でも乗り心地を悪化させないようにするのもタイヤなのです。

タイヤは一見するとゴムのドーナツのようですが、実に多くの技術が注ぎ込まれています。例えば、それを表すひとつのパートが、「トレッドパターン」と名付けられた溝です。トレッドパターンは“ランドエリア”と呼ばれる地面に接地する部分と、“シーエリア”と呼ばれる溝の部分で構成されます。

ランドエリアは地面との摩擦を生むことで、「進む」「曲がる」という性能を発揮する重要な部分です。また、この部分のゴムの硬さによって、ハンドリングや乗り心地が決まります。

シーエリアの基本的な役割は、雨水の排水と雪や泥の排出です。加えて、タイヤが接地して回転する際に発するロードノイズを、別の周波数の音を発生させることで低減する役割も持っています。スタッドレスタイヤのトレッド面に設けられたサイプという細かい溝は、氷雪路面の水膜を取り除いたり、低温下でもタイヤのゴムが硬くならないようにする機能が与えられています。

ランドエリアは、シーエリアによって区切られますが、そのひとつひとつを「ブロック」と呼びます。ブロックは様々な形がありますが、接地面で摩擦力を発生するだけでなく、角(エッヂ)の部分で様々な路面を引っ掻き、「進む」「曲がる」「止まる」を発揮します。

ちなみに、ランドエリアとシーエリアの広さの比率を「シーランド比」といい、それによってタイヤの性能・性格が決まってきます。タイヤの表情、つまりシーランド比を見ることによって、そのタイヤがどんなシーンにあったタイヤなのかが分かるのです。

タイヤによって愛車の乗り味がガラリと変わる

ジムニーの純正タイヤは、オンロード性能をメインとした汎用タイヤが装着されています。現行型はブレーキLSDトラクションコントールが装備されているため、純正タイヤのままでもオフロードでそこそこに走ってしまいます。しかし、路面状況が悪い場合は空転することが多く、また見た目的にも迫力がありません。

そこで交換したいのが、アフターマーケットで売られている4WD・SUV用タイヤへのグレードアップです。4WD・SUV用タイヤには、下記のような種類があり、それぞれ見た目や性能で特徴があります。

YOKOHAMA GEOLANDAR A/T(ヨコハマタイヤWEBサイトより)

【オールテレーンタイヤ〈A/T〉】
オンロードとオフロードの性能のバランスが最もいいタイヤです。ランドエリアの方が広くなっていますが、トレッドパターンはかなりラギッド。履き替えることで、オフロード4WDらしいエクステリアにできます。多少の雪でも走行できるのが特徴です。


【ハイウェイテレーンタイヤ〈H/T〉】
その名の通り、高速走行などオンロード性能主体のタイヤ。静粛性に優れ、乗り心地がいいのが特徴です。オフロードには行かないというユーザー向きです。

YOKOHAMA GEOLANDAR M/T(ヨコハマタイヤWEBサイトより)

【マッドテレーン〈M/T〉】
本格的なオフロード走行を考えているユーザー向きのタイヤです。ただし、オフロード走行をしない人でも、愛車のドレスアップ目的で履く人も増えています。シーエリアが非常に広く、ブロックで岩や泥に食いつき、広い溝で排土するという機能を持っています。乗り心地が少々硬く、ロードノイズも出ますが、最近のM/Tタイヤはこれらの点も改善されています。

TOYO OPEN COUNTRY R/T(TOYOタイヤ WEBサイトより)

【ラギッドテレーン〈R/T〉】
最近、市場に投入された新カテゴリーのタイヤです。A/T タイヤよりもラギッドなトレッドパターンを採用し、それでいてオンロードでの性能も十分に確保されています。M/Tタイヤでは見た目が過激すぎるという人にオススメです。


上記が大まかな4WD・SUV用タイヤの分類ですが、メーカーによって見た目が異なり、さらに細かくモデルが分かれていることがあります。

愛車をどの方向にカスタムするかを考えてサイズを選ぶ

ジムニーのタイヤをグレードアップする場合、3つの方向性があります。まず純正タイヤサイズを維持し、ブランド・モデルのみを替える方法。第二は、タイヤサイズを小さくして、ローダウンする方法。第三は、タイヤサイズをアップし、多少リフトアップする方法。この中では、タイヤのサイズをアップするのがスタンダードなカスタムとなっています。

タイヤのサイズをアップすることを、一般的に「インチアップ」などと言います。インチアップをすると、タイヤの径が大きくなるため、履かせた時に見た目の迫力がグッと増すのが魅力です。また大径にすることで、オフロードでのトラクション性能を向上させることもできます。

ただ、どのサイズにインチアップしてもいいというわけではありません。
ジムニーの純正タイヤサイズは175/80R16、シエラは195/80R15です。
ちなみに、この数値は、左から●タイヤ幅 ●扁平率 ●リム径(ホイール径)を示しています。
ここでお気づきだと思いますが、肝心とも思える外径は表記されません。外径を知るには、自分で計算する必要があります。ちなみに計算式は下記になります。

(リム径×25.4)+(タイヤ幅×扁平率×2)=タイヤ外径

しかし、ここで導き出された数値はあくまでも参考値。というのも、同じサイズ表記でも、タイヤのモデルによって外径は変わります。正確な外径を知るには、メーカー発表値をHPなどで調べてください。

ノーマルサスペンション,ノーマルバンパーにYOKOHAMA GEOLANDAR M/T 185/85R16を装着したジムニーJB64

さて、どうしてどのサイズにインチアップしてもいいわけではないかというと、それはタイヤが収まる空間、つまりタイヤハウスの広さが限定されているからです。さらに、ハンドルを切ってタイヤに舵角が付いた時に、タイヤハウス内に干渉する可能性も考慮しなければなりません。さらには、ノーマルバンパーかアフターパーツのバンパーか、リフトアップサスペンション装着車かでも、付けられるタイヤのサイズが変わってきます。

ちなみに、サスペンションもバンパーも純正の場合でサイズアップできるアピオ推奨のサイズは、ジムニーが185/85R16、ジムニーシエラは215/75R15です。このサイズまでであれば、オンロードでの通常走行でタイヤハウス内に当たることはないですし、フェンダーからハミ出ることもありません。

アピオのコンプリートカー「TS4」と同等のパーツを装着した場合は、下記のサイズまでを推奨しています。


●JB64-TS4:205R16まで


●JB74-TS4:235/75R15まで(15インチの場合)
       225/75R16まで(16インチの場合)
 ※BF Goodrich KM3の場合は、ワンサイズダウン推奨

左:JB64-TS4(TOYO OPENCOUNTRY 785・205R16), 右:JB74-TS4(YOKOHAMA GEOLANDAR G003 M/T・215/75R15)

ちなみに、オフロード走行でタイヤが大きく逆位相に動いた場合は、これらのサイズでもタイヤハウスやバンパーに干渉する場合があります。

市場にはジムニー用のタイヤサイズがいろいろ出ていますが、これが正解という答えはありません。見た目の好みもありますし、他のパーツとのマッチング、モデルによるサイズの差違など、総合的な判断が必要です。ただ1サイズ違いで、見た目のバランスは大きくことなりますし、モデルによってはハンドリングに影響する場合もあることを知っておきましょう。