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17.03.27

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.4]タイヤ選びの基礎知識

ジムニーに限らず、クルマのポテンシャルを引き出す上で大切なのがタイヤ選びです。
特にクロカン4WDやSUVの場合、色々な種類のタイヤがあり、
自分の求めている性能によって、選び方が変わってきます。
今回は失敗しないために、タイヤの基礎を勉強していきましょう。

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クロカン4WD用タイヤには種類がある

激しいオフロードを走ることもあるクロカン4WDの場合、乗用車とは違うタイヤが必要になります。

オンロードしか走らない乗用車でも、タイヤには種類があります。例えばスポーティ志向だったり、快適性や低燃費を追求したタイヤだったり。ですが、クロカン4WDやSUV用のタイヤは、もっと使用ステージが明確になったタイヤが販売されているのです。

クロカン4WD用タイヤは大きく3つに分けられます。第一に、オンロードとオフロードの性能バランスを取り、どんな路面でも走れるようにした「オールテレーンタイヤ(AT)」。泥や砂地、雪などオフロードを得意とする「マッドテレーンタイヤ(MT)」。そして舗装路の高速性能を重視した「ハイウェイテレーンタイヤ(HT)」。

昨今では舗装路しか走らないSUV用のタイヤなども各メーカーがリリースしていますが、前述した3タイプが一般的と言えるでしょう。どのメーカーのどのタイヤを選ぶかということが気になると思いますが、実際の所は、どのメーカーのタイヤも良くできています。だから、大抵のタイヤはハズレがないのですが、よりいい性能を持つという意味では、やはり違いがあります。

ただ、まずどのタイプのタイヤを選ぶか、自分のライフスタイルと照らし合わせて決める方が先です。

ジムニーに乗っていても、舗装路しか走らない、しかも雪道も行かないという方は、間違いなく「ハイウェイテレーンタイヤ」を選びましょう。通称HTタイヤは舗装路でのグリップ性能やウェット性能に優れ、乗り心地の良さや静粛性、燃費という性能面で一番優れています。高い速度で走っても、タイヤ性能の低下が少ないのも、このタイプです。また4WDにシフトしていれば、ちょっとしたダートくらいは走れます。

舗装路での使用がメインだけれども、ちょっとしたダートや泥、雪道も走りたいという人は万能タイプの「オールテレーンタイヤ」、通称ATタイヤを選びましょう。もしタイヤ選びに迷った場合は、このATタイヤを履いておけば、まず後悔することはないと思います。最近のクロカン4WDやSUVは標準でHTタイヤを履いていることが多いので、ATタイヤに履き替えて、愛車の性能をマルチパーパスにするのもいいでしょう。ただし、万能タイヤだけに、オンロード、オフロード、雪のどの性能も平均的で特化している部分がないのも、このタイプの特徴です。

日常生活での使用も多いけれど、積極的にオフロードを走りたいという人は「マッドテレーンタイヤ」、通称MTタイヤを選びましょう。泥や岩、砂の路面で優れたトラクション性能とグリップ性能を発揮。タイヤも頑丈で、オフロードでもパンクがしにくいように作られています。圧雪路や新雪路であれば、こなしてくれるという特徴もあります。ひと昔前はオンロードが苦手…ということもありましたが、昨今では性能が上がって舗装路でも快適に乗ることができます。

ゴムの配合によって性能が異なってくる

様々な気温や路面状況でも、タイヤがしっかり働いてくれるのは、コンパウンドによる部分が大きいと言えます。

さて、前項で「タイヤの性能はどのメーカーでもほぼ同じ」と書きましたが、それはライバルメーカーに引けを取らないように、各社が一生懸命開発しているからです。

性能がほぼ同じだとしても、各社のタイヤには違いがあります。もっとも違うのは「コンパウンド」です。コンパウンドとはタイヤを形成している成分の配合です。

タイヤは天然ゴムや合成ゴムに、カーボンや硫黄、オイルなどを混ぜて作ります。ゴムだけだと低温下で硬くなったり、ヒビ割れたりします。直射日光にも弱くなり、高温下で溶けてきたりします。

コンパウンドの配合によって、タイヤの性格はまったく異なってきます。一般的にコンパウンドは「ハード」「ミディアム」「ソフト」に大別できます。ハードは耐久性が高く、転がり抵抗が低いので燃費に優れています。

反対にソフトは燃費は悪くなりますが、路面に吸い付く力が大きく、コーナーなどでのグリップが良くなります。ミディアムは、その中間になります。

ちなみに「トラクション」とはタイヤの前進するための性能、「グリップ」はコーナーなどで横方向に踏ん張る性能のことを言います。

コンパウンドは、実際にタイヤに触れることでおおよそ分かります。タイヤ店などで、低燃費タイヤとグリップ力重視のタイヤを、それぞれ触って比べてみてください。硬さに差があるはずです。

かつては柔らかいタイヤは耐久性が低く、硬いタイヤは長持ちすると言われていました。ですが昨今はメーカーの努力で、柔らかくてグリップ力の高いタイヤでも長持ちするようになってきています。

タイヤの“顔”を見て性能を知ろう

写真は横浜タイヤの公式HPに掲載されている「ジオランダーA/T G015」の写真。オン・オフの性能バランスがいいタイヤの代表モデルです。

タイヤショップで自分の求める性能のタイヤを紹介してもらうという買い方でもいいのですが、タイヤの“顔”を見て、それがどんな性能を持ったタイヤなのかが分かると、一層タイヤ選びがラクになります。

タイヤはドーナツ形をしていますが、実は各部に名前があります。まず溝が掘られている外周部分を「トレッド」と言います。トレッドの一番外方向の角を「ショルダー」、そしてタイヤの丸い面の部分を「サイドウォール」と言います。

タイヤの顔と言えるのが、トレッドです。タイヤは主にこの面を使うことで性能を発揮します。トレッドにはご覧の通り溝がありますが、この溝を「グルーブ」と呼びます。グルーブには縦と横があり、縦のグルーブ(写真内①)を「リブ」と言い、直線、またはジグザグに掘られています。リブは主に雨水を排水する溝ですが、コーナーなどでタイヤに横方向の力が加わった時に、溝からたわんでグリップ力を生みます。

横方向の溝(写真内②)を「ラグ」と言います。ラグはトラクションや制動力を生み、特にオフロードではラグ溝が重要な働きをしてくれます。昔のジープのタイヤなどは、このラグしかないタイヤを履いていました。

この縦溝と横溝の間にある“島”を「ブロック」と呼びます。ブロックは平行四辺形や台形になっていることがほとんどで、それぞれの辺(エッジ)でもトラクションやグリップが発揮されます。

ブロックに入った細かい溝は「サイプ」と言います。サイプはブロックをしなやかに動かすためだけでなく、タイヤが地面に接地した時に空気を逃がして騒音(ロードノイズ)が少なくなるようにしたり、排水を促したりと、いろいろな働きをしています。

オフロード性能を重視したタイヤでは、ショルダーの部分も大切な働きをします。土の深い轍の中を走った時など、このショルダーが土の壁で摩擦力を発揮し、前進する力になってくれます。一般的にこのショルダーが張っているタイヤはオフロード性能が高く、丸いタイヤは舗装路向きです。

轍は舗装路にもできますが、ここから脱け出す性能を「耐ワンダリング性能」と言います。この場合、ショルダーが張っているタイヤは脱け出しにくく、ショルダーが丸いタイヤはすっと脱け出すことができます。

最後にサイドウォール。サイドウォールはオフロードタイヤは硬く、頑丈にできています。これは岩などにヒットした時に、破れにくくするためです。ダートを高速で走るラリー用タイヤなどは、サイドウォールをシャーリングで補強しています。ただサイドウォールが硬いと、タイヤがたわまなくなるため、曲がりにくさを感じるということもあります。また、凹凸を越えた時のショックが吸収しにくく、乗り心地の悪さになることもあります。ちなみに、サイドウォールに書かれたブランド名や商品名を「レター」と言いますが、レターでもトラクションを稼ぐオフロードタイヤもあります。

タイヤを替える前に知っておきたいコト

アピオジムニーTSは、タイヤのサイズアップがされている。これは見た目と性能向上の両立を図ったものです。サスペンションの変更と相まって、優れた悪路走破性を実現しています。

タイヤは減ったら替えればいい…そう考えている人も少なくないと思います。たしかに間違いではありません。ですが、純正タイヤというのは自動車メーカーの厳しいコスト管理の中で生産されたものであり、実はタイヤ販売店などで売られているものよりも、性能が低いと言っても過言ではありません。

クルマごとに違うので一概にいくらとは言えませんが、同じ銘柄の純正タイヤと市販(アフターマーケット)タイヤを比べたら、製造コストはまるで異なります。市販タイヤは高いだけあって、性能も純正タイヤよりも良くなっているのが実情です。

タイヤを替える時、純正タイヤと同じサイズを選ぶのも手ですが、せっかくですからサイズアップしてみてはいかがでしょうか。サイズアップすると、見た目に迫力が出ます。ですが、もちろんドレスアップだけではありません。性能もアップします。

幅が広がれば横方向のグリップ力が高まり、外径が大きくなれば同じエンジンの力でも走破力が高まるというメリットがあります。でも、幅も外径も大きくすればいいというわけではありません。

幅を太くした場合、オンロードでのグリップ力は向上しますが、接地面の面圧が低くなってしまうため、オフロードでは不利です。オフロードではグリップも大切ですが、トラクションがさらに重要になります。

トラクションは、タイヤのトレッドを地面に押しつける圧力によって生まれるため、接地面積が狭く面圧が高いほうがいいのです。また、接地面が進行方向に向かって横長な形よりも、縦長の方がオフロードでは有利です。そのため、オフロード性能を向上させるためには、細身で大径のタイヤに替えるのが一般的です。

サイズアップをする場合、もうひとつ考えなければいけないのが、クルマとのマッチングです。あまり幅の広いタイヤはフェンダーからはみ出してしまいますし、径が大きすぎるタイヤはタイヤハウスの中に入りません。場合によっては、サスペンションやホイールを替えなければならない場合もあります。

ですので、サイズアップする場合はプロショップなどに自分の希望を伝えて、それに合ったサイズを勧めてもらいましょう。

タイヤは大切にすれば長持ちする

クルマが進むのはタイヤがあってこそ。クルマの命とも言えるタイヤだからこそ、大切にメインテナンスしたいものです。

オフロードを走ると、タイヤの力の凄さを思い知ります。いくら高性能のエンジンを積んでいても、タイヤがなければクルマは走りません。ですので、タイヤもしっかりとメインテナンスしてあげましょう。

まず、空気圧。空気圧が高すぎると乗り心地が悪くなり、低すぎると燃費と耐久性が悪くなります。タイヤには推奨空気圧というのがありますので、1か月に1度は空気圧の確認をしましょう。

余談になりますが、オフロードでは空圧が高いと空転しやすくなります。空気圧を低くすると、トラクションを回復することも覚えておいてください。その場合、舗装路に出たらできるだけ早く空気圧を戻すのを忘れないでください。

愛車は定期的に洗車をすると思いますが、タイヤも同時によく洗ってあげましょう。泥など汚れが付いたままだと、劣化を早めることになります。洗ったら水気を十分に取り、タイヤワックスやポリメイトなどの保護剤を塗り込みます。タイヤは日光や雨にいつもさらされており、特に紫外線によって劣化します。ワックスなどで表面を保護することで、劣化を遅くするこができます。

洗車をしたら、トレッドに異物が刺さっていないか確認しておきましょう。小石などが挟まっていたら、マイナスドライバーで取り除きます。もしクギが刺さっていた場合はその場で抜かず、タイヤ店やガソリンスタンドなどで処置してもらいましょう。刺さっているクギを抜いてしまうと、パンクすることがありますので要注意です。

岩場などを走ると、サイドウォールのゴムがめくれている場合があります。サイドカットと言いますが、これは要注意です。そのままにしておくと、タイヤがバーストして大事故につながる恐れがあります。こうしためくれを発見したら、タイヤ店にすぐ行きましょう。サイドウォールは修復が難しく、大抵の場合は交換となります。

普段は背面に積んであるスペアタイヤも、時折ワックスをかけて、空気圧をチェックしておきましょう。イザという時に使えるようにしておくことが大切です。

今回はタイヤについてお伝えしましたが、ジムニーなどのクロカン4WDの性能はタイヤによって大きく左右されます。もし、タイヤ選びに迷ったら、ぜひアピオのスタッフにご相談ください。

(文/山崎友貴、写真/山崎友貴、山岡和正)

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