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17.01.25

アピオTSジムニーのトリセツ[vol.3]はじめての雪道ドライブ

雪道は4WDの実力を実感するのにうってつけのシーンであり、
またジムニーオーナーにとって楽しさを満喫できるシチュエーションです。
でも、何も知らないで無邪気に走ってしまうと痛い目に遭うことに。
オフロード同様に、雪道も経験が必要です。
その第一歩を踏み出すために、今回は基本的な雪道テクニックをお伝えしていきましょう。

<写真をクリックすると、拡大とキャプション表示ができます>

雪道に行くにはタイヤが大切

雪道においてタイヤのトラクションやグリップは予想が付きません。4WDと言えども、滑る時は滑ります。

日本を寒波と発達した低気圧が襲い、都市部に雪が降って交通に混乱を来しています。都市生活者の多くが雪道に慣れていなかったり、雪用タイヤの準備がなかったために、これらの混乱が生じるのです。

せっかくジムニーを所有したならば、やはり雪道はスマートに運転したいもの。サッと4WDにシフトして、何事もないように雪道をいなしてこそ、ジムニーオーナーと言えるのではないでしょうか。

さて雪道を走るには、まず事前の準備が必要です。ジムニーの純正タイヤは夏専用のHT(ハイウェイテレーン)となっており、公道においてチェーン規制が実施された場合はチェーンを装着しなければなりません。

アピオTSシリーズの場合は、マッドタイヤが装着されていますが、こちらは「M+S(マッド+スノー)」表記で、規制下でもそのまま走行できます。ただし、スノー仕様のタイヤが万全というわけではありません。

スノータイヤというのは溝の中に雪を取り込み、雪面の雪と付くことでトラクションを得る仕組みになっています。圧雪された雪には強いのですが、ゴムが低温下になると硬くなり、凍った路面を走る場合はスパイクピンを打ち込む必要がありました。ところがご存じの通り、日本では緊急車両以外はスパイクタイヤが禁止されています。

これに代わって登場したのが、スパイクピンを持たない「スタッドレスタイヤ」。スタッドレスタイヤは、低温下でも硬くならないゴムで出来ており、トレッドのゴムを路面に擦り付けるようにしてトラクションを得ます。また凍結路面でも滑らないように、様々なハイテク素材をゴムに配合しているのです。

ただし、スタッドレスタイヤはトレッドを押しつけるようにして進むため路面を磨いてしまい、それがまた凍結の要因となってしまうというジレンマがあります。こういった路面を「アイスバーン」と言うのだが、これに太刀打ちできるのはスタッドレスタイヤかタイヤチェーンしかありません。

つまりマッドタイヤはあくまでも緊急用と考えて、降雪地帯にドライブに行くならスタッドレスタイヤに履き替えた方がいいということです。4WDは雪道に強い駆動方式ですが、最終的に「進む・止まる」の性能を決めるのはタイヤなのです。

タイヤチェーンですが、金属製、非金属の2種類があります。ジムニーは車重が軽いため、非金属チェーンでも十分に効果があり、また装着もラクです。

なおアピオでは、純正サイズの175-80R16の他、インチアップ用の185-85R16と195R16用の金属チェーンを販売しています。

さて準備は、タイヤだけではありません。ワイパーとウォッシャー液も寒冷地用にしなければいいけないのです。

まずワイパーですが、夏用のもので低温下に行くとフロントウインドゥの水分を掻かなくなります。これは使っているゴムが低音で硬くなるのと、ワイパーブレードの稼動部分が凍って動かなくなるため。ガラス面に沿ってゴムが密着しなくなってしまうのです。

冬用の「スノーブレード」は、低温でも硬くならないゴムを使用し、稼動もゴムで被服してあります。これにより、雪がガンガン降ろうとも低温下だろうともきっちりと視界を確保できます。

ウォッシャー液は、水で薄めることなく原液をタンクに入れましょう。薄めた液がタンクにたくさん入っている場合は、原液に入れ替える必要があります。水で薄めてしまうと、その水分が凍結して出なくなってしまいます。

最後はメカニカル的な部分。まずバッテリーのチェックは十分に行いましょう。バッテリー液が減っていたら補充し、電圧が低い場合は充電をしておきます。寒冷地では放電が早いので要注意。

エンジンオイルも夏に使用しているものよりも、粘度の低いものを入れたほうがいいでしょう。15W以下の粘度でターボ対応のオイルなどが向いているでしょう。アピオのジムニー専用オイルは5W-30ですので、低温下でも安心して使うことができます。

雪道と言っても路面は様々

いきなり積雪がある場合もありますが、このように路面が濡れ始めたら4WDにシフトするタイミング。

ダートとは異なり、雪道は「ここから林道」とは書いた看板はありません。いきなりの積雪や凍結が当たり前。でも、路面に兆候は見られます。降雪地を走っていて路面が濡れ始めたら、その先に大抵は雪があると思っていいでしょう。

また黒く濡れているように見えても、実は凍結していることもあります。写真のように路面が濡れているように見えたら、直進時に4Hボタンを押しましょう。走りながらの操作に不安がある場合は、ゆっくりと路肩に停めてから4WDにシフトしましょう。

また乾燥路に戻った場合は、慌てずに2WDボタンを押せばOK。シフトするタイミングは高速道路でも同じで、路面が濡れていたら積極的に4WDにシフトした方がいいでしょう。ちなみにジムニーの場合、2WDと4WDのシフトは100㎞/h以下の直進状態で行わなければいけないません。

タイヤチェーンの場合は、ジムニーでは例外を除いて後輪に装着します(例外については後述)。理由はジムニーはFRベースの4WDで、2WDにした時は後輪駆動だからです。チェーンの場合も、路面が濡れはじめたらチェーン装着場などに入って付けましょう。積雪がない場合、金属チェーンの場合は騒音と振動が気になりますが、やはりセーフティファーストです。

チェーンを携行する場合は、40ℓくらいのゴミ袋を持っていくことをオススメします。チェーンは雪や泥で汚れることが多く、タイヤから外した際にサッと入れられます。

上)圧雪路面が一番安定したトラクションが得られます。下)路面が黒くなっている場合は注意。凍結しているサインです。

さて、冬の路面にはタイプがいくつもあります。新雪(深雪)、圧雪、凍結(アイスバーン)、ミックス。一番安心できるのは、真っ白な圧雪路面です。水分が少なく、スタッドレスタイヤやスノータイヤが安定した性能を発揮します。

注意しなければならないのは、やはり凍結路面です。凍結路面にもいくつか状態があり、ブルーアイスと呼ばれる青い路面は比較的、スタッドレスタイヤが効く路面です。最悪なのはブラックバーン(アイス)と言われる、真っ黒な氷の路面。交差点などにできやすいのですが、これはスタッドレスタイヤが停車時に磨いてできてしまう路面です。

スノータイヤではまず停車できず、スタッドレスタイヤでもABSをフルに利かせて止まる場合があります。停止線付近が黒くなっている場合は、手前で十分に減速するようにしましょう。

ミックス路面の場合は、できるだけタイヤを白い圧雪路面に載せて走ります。ただし路肩に寄せすぎると、雪の下に隠れた側溝に脱輪する恐れがあるので注意してください。

雪で深い轍が出来てしまっている道では、ダート同様に、その中に入って逆らわないように走ります。突然、テールがスライドしたりしますが、慌てずにハンドル軽く握ったまま進んでいきましょう。

雪道を走っていると稀ですが、軽い雪が強風にあおられて前方視界が無くなることがあります。これを「地吹雪」と言いますが、この状態になったら無理に走らず、路肩に寄せてやり過ごすのが無難です。

雪道ドライブに“急”noは厳禁

雪道も慎重に運転すれば、突然危険な目に遭うことはなかなかありません。セーフティファーストこそが、雪道を楽しむ極意です。

雪道ドライブには鉄則があります。それは「急の付く操作はしない」ことです。急ハンドル、急発進、急ブレーキなどなど。

まず発進ですが、平地では多少ラフにアクセルを踏んでも、若干の空転の後に前進します。ところは少しでも傾斜が付いている上り坂では、ラフなアクセル操作が命取りになる場合があります。

発進はゆっくりとタイヤを回転させることをイメージしながた行います。AT、 MTとも2速にシフトレバーを入れて、2速発進を行いましょう。こうすることで低速トルクが若干ですが逃げて、ぐっとアクセルペダルを踏んでも、スリップの少ない発進ができるようになります。

ステアリング操作もゆっくりが基本です。オフロードと同様、手を交差させる回し方ではなく、送りハンドルが基本となります。その理由としては、車両のテールがスライドしてしまった時に、とっさにハンドル操作が必要になるためです。ハンドルは曲がる方の手で、ゆっくりと下に引くように操作しましょう。

コーナリング中はタイヤのグリップ状態を五感で感じる必要があります。経験がない内は分からないかもしれませんが、スリップしているかしてないかは分かるはずです。

コーナーに進入する前に十分に減速し、アクセルを少しだけ踏んでコーナーに進入します。そして一定のアクセル開度のままコーナーを抜けます。

オーバースピードでコーナーに進入し、恐いからハンドルを切ったままアクセルを離してブレーキを踏むと、途端に後輪から横にスライドし始めます。これはブレーキングすることで荷重が前に移動し、駆動トルクが無くなることで、タイヤのトラクションが一気に無くなるためです。

この操作をわざとやるのが「ドリフト」の最初の操作であり、雪道に慣れてきたら、敢えてドリフトでコーナーを曲がるという楽しみ方もあります。ですが、最初の頃は車両をコントロールできないので、やめておきましょう。

ちなみに雪道走行でのギアの選択ですが、2速か3速が運転しやすいと言えます。コーナーが多い峠道などでは2速、普通のところでは3速。ATの場合、Dレンジにしておくとオーバードライブ入ってしまうため、トルクが変動してかえって車両の挙動が不安定になります。なるべく一定のトルクで走るのが、雪道ドライブのコツです。

テールをスライドさせながら、スピーディに曲がるというテクニックも最終的には身に付けたいところ。雪道の楽しさがグッと広がります。

停車する場合は、どの路面でもポンピングブレーキが基本です。ポン、ポン、ポンとブレーキを踏んで離す、踏んで離すを繰り返して減速・停止します。圧雪路面なら普通にブレーキ操作をしても問題ありませんが、凍結路面ではスリップして車体があらぬ方向を向いてしまうことがあります。

凍結路面でスリップし始めたと思ったら、ブレーキを離してはいけません。逆に、これでもかと言うほど強くブレーキペダルを踏んでください。こうすることでABSが利いて、短い距離で止まることが可能になります。スリップした時にブレーキを離してポンピングブレーキをしてしまうと、逆に制動距離が伸びてしまいます。滑ったと思ったら強くブレーキを踏む、これがすぐにできるように身体に覚え込ませてください。

それと、クルマがスリップを始め、おもわぬ方向に滑り出したら、まずハンドルを真っ直ぐにしましょう。ハンドルが切れていると、横転する危険があります。前輪を真っ直ぐにしたらすぐに手を離すか、軽く握るようにします。もし雪の壁などにぶつかった場合、ハンドルを強く握っていると衝撃で指を怪我する場合があります。

深雪は一級難度のオフロードだ

林道でも写真のように轍が付いている場合はいいが、新雪だと運転技術が必要になります。

舗装された道でも、除雪・圧雪されていない新雪の場合は、ジムニーと言えども運転技術を要します。“たかが雪”と侮っていたら、クルマを置いてこなければならない事態にもなりかねません。ベテランの四駆乗りでも、新雪(深雪)は苦労する一級レベルのオフロードなのです。

まず道路に深雪が積もっている場合、ビギナーのうちは愛車のタイヤのハイト(トレッドからホイールまでのゴム部分の高さ)を越えるような積雪量だったら、入らないほうが無難です。車両の下を見て、デフの部分(車両下部の中央くらいにあるサスペンションの丸い部分)よりも上に雪が積もっていた場合は、完全に上級レベルとなります。

新雪(深雪)の道に入る場合、とくに路面に轍がないバージンスノーの場合は、一度停止して4Lにシフトしましょう。この方がより強力な駆動トルクが使えて、深雪でもラクに走ることができます。轍が付いている場合は、4Hでも十分です。

走行中に雪が深くて前に進まなくなったら、すぐにバックするようにします。車両前部を見たら、きっと車両で押し出した雪が溜まっているはずです。こういう場合は、その雪を取り除かなければ前に進むことはできません。そのためにも、深雪に入る場合はスコップの携行はマストです。

ビギナーの内は難しいのですが、雪道やオフロードに慣れた人はあえて深雪走行を楽しみに行く人もいます。深雪の場合は、まず前輪に金属チェーンを付けます。これにより、前輪が深雪をラッセルして進みやすくなるからです。

ただし、ラッセル車と違ってスノープラウという雪よけの金属板がないため、雪は道の脇に移動せず、ひたすら前に詰まっていきます。柔らかい雪でもギューギューに詰めてしまうと硬くなり、壁になって進めなくなってしまうのです。

深雪ドライブのテクニックについては、まだ機会を改めまてご紹介します。とりあえずビギナーの内は、前述した通り、タイヤのハイトよりも高く雪が積もった道には入らないことが無難です。

駐車する時も降雪地ベーシックがある

駐車場とは言え、まとまった量の雪が降ったり、除雪が入ったりすると、発進するのが困難になる。

出かけた先で長く駐車する場合、寒冷地ならではの駐車方法があります。

まず駐車場にクルマを駐めたら、サイドブレーキを引くのはNGです。サイドブレーキはワイヤーで作動しており、これが低温になると凍結して動かなくなるのです。翌日、発進しようとしたらサイドブレーキが解除できない…という事態になってしまうのです。

AT車の場合はPモードに、MT車はギアを1速かバックに入れておきましょう。MT車は、前が下りの傾斜地ではバック、後ろが下りの傾斜地では1速に入れます。そうでないと、下りに向かってクルマが動いて大変危険です。心配な場合は、輪留めも併用しましょう。

次にワイパーを立てておきます。ワイパーも水滴が凍って、ガラスに張り付いてしまうからです。立てておけば、出発する時にすぐにワイパーを使うことが可能です。

降雪すると、車体に雪が積もったり、ガラスが凍結してしまいます。車体から雪を下ろすために、雪下ろしワイパーなどの携行をしましょう。洗車ブラシでも代用できます。車体の雪をすべてはらってから出発しましょう。雪が載ったまま走ると、走行中に落ちて後続車両に迷惑をかけることになります。

ガラスが凍っている場合は、解凍スプレーかスクレパーを使います。ない場合は、プラスチック製のポイントカードなどを使ってもいいでしょう。手軽なのは解凍スプレーで、シュッと吹きかけるだけであっと言う間に霜を溶かしてくれます。

ない場合は十分に暖機運転をした後、ヒーターをデフロスターにして暖気を吹きかければ解凍します。凍結防止用のシェードが売られていますので、これを張っておけばすぐにスタートできて便利です。

これらのグッズは、降雪地のホームセンターで安く売っていますので、現地でゲットするのも手です。

寒冷地にクルマを駐車しておくと、このように一晩でガラスが凍結してしまいます。ワイパーを立てて、凍結防止用のシェードを張っておくと、スピーディに出発できます。

さて、人によっては風向きと逆に駐車するべきだという人がいますが、これはあまり関係ありません。風によってラジエターなどが凍るという理屈なのですが、日本での低温ではラジエター液やエンジンオイルが凍結するということはまずありません。

ただし、ラジエターに何度も水道水を足している…というような場合は凍結することがあります。水道水を足している場合は、寒冷地に行く前にラジエター液の交換をお勧めします。

駐車位置で気をつけなければならないのは、屋根から雪が落ちてくるような場所。雪は非常に重くなるため、場合によってはボディが凹むことがるので侮れません。駐車したら上をまず見て、雪が落ちてこないか必ずチェックしましょう。

それと駐車は前向きが基本です。これはバックギアのほうがギア比が低く、より大きな駆動力が得られるからです。雪が積もってしまった場合などに安心です。

もし駐車場でスタックしてしまった場合は、デフの下の雪、タイヤが進む場所の雪をスコップで取り除きます。これで脱出できなかったら、ダート編でもお伝えした「揉み出し」テクニックを使います。バックで後退、進まなくなったらすかさず前進…。これを繰り返して振り子運動を行い、スタックポイントを乗り越えます。

さて最後になりますが、零下での走行の場合は、寒いからといって暖房を強くかけ過ぎると、水滴がガラスで凍結して前方視界が悪くなったり、ワイパーが利かなくなったりします。注意しましょう。

また、寒冷地ではできるだけガソリンをいつも満タンにしておくことも忘れてはなりません。雪道でトラブルに遭い、しかもなかなかクルマが通らないという場合は、一晩車内で過ごさなければならないこともあります。そんな時にガス欠になってしまうと、暖房も利かなくなってしまいます。高速道路を降りたら、まず給油をしておきましょう。

今回は雪道ドライブのテクニックの初級編をお送りしました。これはごく一部です。雪道では覚えることも多いのです。ただ恐れていても仕方がないので、まずは雪道に繰り出してみましょう。日常とは違う、ジムニーの楽しさを味わえること必至です。

<文・写真/山崎友貴 写真/山岡和正>

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