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森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶
VOL.004
黒蔵の留守番とサバンナ
黒蔵の留守番とサバンナ

春の訪れに心が踊る。
この喜びをどこへ持って行こうか。
新緑の若葉の煌き。
新しい季節の、美しい光を迎えに行こう。
でもその前に、今回は番外編です!!!

寂しそうな黒蔵

寂しそうな黒蔵。ごめんね。

麗らかな春の訪れ。
豊かな花の香り、そして新緑の芽生えに心が動く。
はずなのだが、実のところまだその美しさに浸ることが出来ていない。
新宿にて、写真集出版記念の写真展を開催していた関係で全くと言って良いほど撮影に出れていないのだ。
そろそろ、本格的に撮影へと動き始める事が出来る。
焦る心を落ち着かせ、ゴールデンウィーク明けの撮影に期待を膨らませる。
黒蔵は駐車場でずっと春の林道を思い描き、我慢して待機しているだろう。
彼のスタッドレスタイヤに哀愁を感じている今日この頃。
さて、そんな訳で今回は番外編第一弾として国外で撮影した作品を紹介させていただきたい。

黒蔵の留守番と、突然のサバンナ

タンザニアとランクル

私は普段、日本の森をひたすら走っている。
そんな中機会が訪れ、私の写友である写真家とサバンナへ赴く事となった。
彼は60回目のサバンナ撮影、大ベテランであり素晴らしい写真家だ。
黒蔵を連れていけたら、、、という後悔とともに嬉々としてキリマンジェロの空港に降り立つ。
場所はタンザニア。ンゴロンゴロ、ヌドゥトゥ、セレンゲティを旅した。
異国の風が鼻を抜け、理解できない言語が飛び交っていた。
「ジャンボ!!!」大きなランクルと共に現れた若い男性に話しかけられる。
どうやら彼が今回の旅に同行してくれるドライバーのようだ。

川のようなダートの水を飲むキリン達

サバンナを想像すると、大体の方は動物をイメージすることだろう。
私は狩をしているライオンや、逃げ惑う草食動物をイメージしていた。
しかしこの旅で知りたかったことは、そうではない。
どんな光の中で生き物は生活し、そしてどんな道があるのか。
日本では見ることの出来ないような光、果てしないダート道。
想像を超える光景がそこには確かに在った。
撮影期間は16日間だったが、多くの出会いを得ることができた。

ヌーの大群

そんなわけで、私たち一行はタンザニアの荒野を突き進む。
全体的に平面の移動ではあるが、塗装されていない道を80km程の速度で突き進むというのはなかなか爽快なものだ。
「ガタガタガタガタッッッッッッ」
道は、ほぼ全てダートだった。
しかし車が同じ位置を通るため、完全なオフロード以外は大きな凹み等はあまりない。
まれにハイエナが掘った巣穴に落ちてスタックするとのこと。
説明を聞きつつ、細かい振動を全身に帯びながら外を見る。
果てしない大地が広がる中、シマウマやヌー達が力強く生きている光景が目に飛び込んできた。
「ブモーブモー!!!ヴオオッッッ!!!(ヌー達)」「グアグア!!!ワン!!!!(シマウマ達)」
沢山の声や足音があちらこちらから響いてくる。
経験したことのない、なんとも不思議な感覚だ。

どこかの取材クルーとシマウマ

日本の森の中で些細な光を切り取っていると、どうしても大きな光から離れてしまう傾向がある。
そんな日常から離れ、急に広大な世界を見ると、遠近感がおかしくなり頭の処理が追いつかなかった。
撮影するにも、距離を頭で計測する際に初日は戸惑ったものだ。
そして、なによりも生き物が大きすぎるのだ。
日本で待っている黒蔵の倍程は余裕である象やキリン、そんな彼らが小さく見えるほど大きな空を眺めていると世界の広さを心の底から実感できた。
黒蔵でこのサバンナを走ってみたい、そう思ったけれど。。。
とても大きな彼らと万が一ぶつかりでもしたらと思うと恐ろしい。
それでも、ゆっくりとこんな風景の中を相棒と旅する事ができたら幸せだろう。
そんなことを流れる風景の中で考えていた。

広大なサバンナとヌー

サバンナの旅は、あまりにも写真が多すぎて紹介しきれないため、少しずつごく偶に番外編として紹介させていただこうと思います。
広大な風景、そしてライオン達や様々な動物と光を楽しみにしていてください。
不思議なことに、こうしてサバンナの事を書いていると無性に日本の森に入りたいという気持ちが強くなってくる。
次の長期的な森の撮影は五月の半ばに入ってから。
サバンナとは正反対の繊細な光。
次の撮影は、どんな光景が切り取れるのだろう。
休み明けには黒蔵の足回りをAPIOでカスタムしてもらい、がっつりと林道へ!!!!
新緑と少し濃くなった森へ行ってまいります。

朝焼けの湖
花と象
チーター親子のキス
左は雨、右は晴れ。美しい光。
巨大な虹と動物達