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ジムニーで行く林道旅
VOL.024
~思い出旅行~ 後編
~思い出旅行~ 後編

23回の旅を改めて振り返ってみると、次から次へと感動が蘇ってくる。
細かな内容まで決めて行くとある程度先が読めてしまうから、基本は行き当たりばったり。
と言っても最近はスマホで検索すれば確かな情報を得られるから、その時の気分に応じた最適な選択が可能。
いやホント、旅をするには何とも便利な時代になったもんだ

距離が長ければイイものではない!

前日まで降っていた雨の影響もあり、路面状況がコロコロ変わる『富山県・坪野虎谷林道』。幕の内弁当のような楽しみがあった。

旅は23回行ったが、走った林道は23本以上。距離も2kmに満たないショートから20km弱のロングまで実に様々ある。その中で印象に残ったのはVol.07『富山県・坪野虎谷林道』とVol.09『七蔵寺林道』、Vol.21『長野県・諏訪箕輪線』そしてVol.22『伊豆・滑沢林道』の4本だ。

『坪野虎谷林道』は尾上会長と河野さんが同行。本線のダート路面は10数kmとミドルクラスなのだが、中身が濃かった。アプローチ後はしばらくフラットダートが続いたが、途中から一変。「やや路面が荒れてきたな〜」と思ったら、マッド、こぶし大の石がゴロゴロしているガレ場、20cmもの深さがある水たまり、雑草でワダチの見えない場所など表情がコロコロと変化。

あのパリ・ダカを経験している尾上会長が「こりゃ〜楽しいね!」とはしゃぐほど、走り甲斐は十二分。本当のクロスカントリーをしているかのような気分に浸れる、ドライバーを飽きさせない道であった。

多くの支線が複雑に絡んでいる『諏訪箕輪線』。長い支線に入り込んだら方向音痴でなくても迷ってしまうだろう。

『七蔵寺林道』は今回も訪れたルートだ。長野自動車道・岡谷ICから約4kmとアクセスが良く、8kmを超えるミドルダートが魅力。また『日本のヘソ』と呼ばれ『日本中心の碑』が立っているため、多くのライダーや四駆乗りが訪れる。整備が行き届いているからビギナーでも安心して走れるだろう。ひたすらフラットダートで気持ち良く走れる、ドライバーを熱くさせる林道である。

『長野県・諏訪箕輪線』は筆者、Yカメともに初めて訪れた林道。地図を見れば眺望は期待できないと予想できるし、名前も知らなかった=不人気なルートだから、正直あまり期待していなかった。ところがとにかく支線が多く、まるで迷宮に入り込んでしまったかのようなスリルを味わえるのだ。

訪れた時は積雪があったこともあり楽しさ倍増。本線は8kmほどだが、支線を走ればかなりの距離となる。また凸凹がきつく、路面が非常に柔らかい所もあるので、無理をしたらスタックは必至。レスキューグッズを揃え、仲間と走り回ったら相当楽しめるだろう。

むき出しの岩肌が伊豆らしさを物語る『滑沢林道』。距離は短いが様々な自然の景色を堪能できる。

『伊豆・滑沢林道』は歴史ある林道なのだが、これまた筆者&Yカメともに初チャレンジ。2kmと短いため、伊豆の林道が走れた頃は眼中になかったのだろう。なんせ当時の伊豆はまさに林道パラダイス。走って楽しく、また絵になるミドルダートがたくさん走れたのだから。

久しぶりに伊豆に訪れたこともあり、固い路面、むき出し状態の岩山肌に懐かしさを覚えた。さらに滝が望めたり(滝までの遊歩道あり)、川沿いを走る支線(むちゃくちゃ短いけど)、樹齢300年を誇る巨大な杉が立っていたりと見所満載。手軽に自然を満喫したいビギナーに最適な林道である。

野趣溢れる露天風呂はコレ!

温泉街から約20分歩いた山中の川沿いにある『燕温泉・河原の湯』。先客と仲良くなり、2時間半以上も浸かっていた。

宿を選ぶ時、特に重視しているのが温泉で、可能な限り露天風呂をチョイスしている。そこで泡ノ湯に匹敵する露天風呂を上げてみよう。

まずひとつはVol.06で行った『燕温泉・河原の湯』だ。泡ノ湯のような白い濁り湯が特徴の温泉で、嬉しい事に無料! その名の通り河原に湧き出ていて、その野趣溢れるロケーションは申し分なし。湯温もややぬるめのため長湯が可能。温泉街の駐車場から20分ほど歩くことになるが、その価値は大いにある。

そして無料露天風呂はもうひとつ『黄金の湯』がある。こちらは河原とは対照的に緩やかな山腹に設けられている。眺望は期待できないが、木々に囲まれた中での入浴だから非常に清々しい気分に浸れる。

非常に野趣的な『万座温泉・日進館』の露天風呂。昼はもちろん、夜間も入浴したい。

ふたつ目はVol.19で紹介した『万座温泉・日進館』。標高1,800mにあり、目の前には温泉ガスにより草木が枯れて荒涼とした山肌が広がるなど、その開放感がとにかく素晴らしい。夜間も入浴可能だから、晴れていればこぼれ落ちんばかりの星空を眺めながら寛ぎのひと時を迎えられる。宿から少し離れているので、聞こえるのは自然が作り出す音のみ。秘湯の雰囲気たっぷりだ。

万座温泉は硫黄成分の含有量日本一を誇り、強い硫黄臭が特徴のひとつ。なんせホテルのロビー内にも充満しているほど、強烈な臭いを放っているのだ。これは好みがあると思うが、これぞ温泉! を味わうなら持ってこい。ちなみにタオルに染み付いた臭いは1回の洗濯では落ちなかったし、翌日風呂に入るまで体にも臭いが染みついていた。

なんとも刺激&魅力的な露天風呂だが、『万座温泉・日進館』のセールスポイントは内風呂にもある。大浴場には木造の大きな建物の中に大きな総天然木の『苦油(にがゆ)』、屋根付き露天風呂の『姥苦湯(うばにがゆ)』、熊笹を浮かべている『ささ湯』、源泉100%の『姥湯(うばゆ)』、温泉ではない湧き水を温めた『真湯(まゆ)』、打たせ湯の『滝湯(たきゆ)』と6つもの湯船が備わっているのだ。

それぞれに趣があるので、是非とも全てにチャレンジしたいものである。露天風呂、内風呂ともに日帰り入浴が可能というサービスが何とも嬉しい。

眼下に太平洋が広がる『沢田公園露天風呂』。こんなロケーションはなかなか体験できないだろう。

3つ目はVol.22で訪れた『伊豆・沢田公園露天風呂』。Yカメ、筆者ともバイクツーリングでもよく通うお気に入りのひとつ。西伊豆には雲見露天風呂と平六地蔵露天風呂という露天風呂がある。季節営業だが、無料のため多くの人々に利用されている。この『沢田公園露天風呂』は有料(500円)のため、人気の面ではそのふたつに及ばないだろう。しかしロケーションの素晴らしさは、ふたつとは比べものにならない。断崖絶壁に造られていて、海を見下ろせるのだ。

その景色の良さは西伊豆で一番とも言われ、晴れた日に青い空&青い海を眺めながらの入浴は格別。湯船はそれほど大きくないが、料金以上の満足感を得られるハズだ。

独断と偏見のお気に入り温泉宿

『法師温泉・長壽館』はアウトドア雑誌『フィールダー』とのコラボで宿泊。唯一女性が参加した旅で、男性陣は終始笑顔が絶えなかった。

最後に何があってももう一度泊まりたい温泉宿を紹介しよう。

まずひとつ目は、総合ポイントで泡ノ湯と迷った『法師温泉・長壽館』だ。道の行き止まりにある一軒宿で、古くは歌人&作家・与謝野晶子や歌人・若山牧水、小説家・川端康成などの文人がこよなく愛したとこで知られている。そして片岡義男の小説が好きだった我々としては、映画『彼のオートバイ・彼女の島』で主人公の竹内 力とマドンナ役の原田貴和子が再会した温泉のロケ地という、ある種の聖地として崇めている宿である。

国登録有形文化財に指定されている本館と別館、法師乃湯の造りは情緒満載。長い年月が生み出した『日本ならではの伝統美』は、近代的な建物で設備が行き届いた高級ホテルでは絶対に味わえない趣きがある。

温泉は3つ備わっているが、一番の魅力は弘法大師が巡錫した際に発見されたと伝わり名付けられた『法師乃湯』。建物は明治28年に建てられた100年以上もの歴史があり、鹿鳴館超のデザインが特徴であり魅力となっている。そして最近では珍しい混浴だ(女性専用時間あり)。泉質は無色透明でぬるめだが、下に敷き詰められた玉石の間から自然湧出している源泉により、浸かっていると身体が芯から温まってくる。厳かな雰囲気のためか、他に入浴者がいても館内はとても静粛で、心から癒やしてくれる。

ちなみみ、この『法師温泉・長壽館』はVol.19で紹介しているが、24回の中で唯一女性が参加した旅。彼女との混浴が成功していたら、間違いなくダントツの1位に輝いていただろう(笑)。

標高2,000mの露天風呂。冬期でも入浴可能だが、着替え用の小屋はない。

他に再訪したいのは、Vol.11『高峰温泉』とVol.17『下呂温泉・湯之島館』の2件だ。

『高峰温泉』は筆者が大のお気に入りとしている宿。標高2,000メートルの場所に建てられ、「雲上の温泉」、「ランプの宿」として広く知れ渡っている。ここの魅力で、まず一番に上げられるのはスタッフの心温まるサービス。『お客様に喜んで頂こう』という雰囲気が館内に漂っていて、何だかとても優しい気持ちに浸れるのだ。

食事も特別に惹かれるようなメニューではないが、厳選した素材を提供して、非常に満足度が高い。温泉は館内の内風呂と、数年前に造られた『雲上の温泉』のふたつ。標高2,000mにある『雲上の温泉』からの眺望は素晴らしく、晴れた日に満点の星空の下での入浴は、まさに至福の時。時間さえ許せばずっと浸かっていたい温泉だ。

荘厳な佇まいの湯之島館。ここからでは想像がつかない、驚くほど規模の大きな建物だ。

『下呂温泉・湯之島館』は、昭和33年に昭和天皇・皇太后両陛下、昭和51年に今上天皇・皇后両陛下が御宿泊された由緒ある旅館。1931年に建造された本館と玄関、渡り廊下は登録有形文化財となっているので、泊まるだけでも価値があるのだ。

湯船は露天風呂と大浴場の他に4タイプの貸切家族風呂を備えていて(温泉付きの部屋もあり)、露天風呂と大浴場は開放感がバツグン! 有馬温泉・草津温泉とともに日本三名泉と呼ばれる下呂温泉を存分に堪能できるのだ。

さらに館内の散策も楽しみのひとつ。元々立っていた樹齢数百年の杉や檜を活かしながら造園した中庭は、四季折々、木々の彩りや花々が楽しめる。本館3階に設けられた展望台からは下呂温泉街が一望可能。また洋館にあるクラブ『ムーンライト』は、昭和初期の歴史ある造りで、是非とも見学しておきたいポイントだ。

さて、今回は2周年を記念して『思い出旅行』をしたワケだが、次回からリニューアルを兼ねて別企画の構想も練っている。どんな内容になるかは現在打ち合わせ中なのでお楽しみに!

取りあえずは2年間お付き合い頂きまして、ありがとうございました !!

茂来林道の支線を進んだら、ジャングルのような緑一色の世界が現れた。どの支線だったかは覚えていない(笑)。

リーズナブルで盛りが良いと大人気の『ほのか』のざる蕎麦。価格とボリュームはもちろん、その味で多くのリピーターを抱えている。
こぢんまりとした造りの『ほのか』。蕎麦の他、自家栽培の有機米おにぎりも評判が高い。長野県安曇野市豊科高家781-3
人気の喫茶店『民芸茶房 まるも』の自家製の限定ケーキ『渋皮モンブラン』とコーヒーセット。長野県松本市中央3-3-10
『高峰温泉』に泊まった時はスノーアタックごっこを楽しんだ。進んだのは3時間でわずか百数十メートル…。いや〜、いい運動だった。
万座温泉近くの広場でティータイム。ちなみにこの場所は大きな段差があるので乗用車だと無理だろう。ジムニーの特権だ!
国登録有形文化財に指定されている本館の玄関。この佇まいは昭和初期からほぼ変わっていない。
『法師温泉・長壽館』の旅に同行した青島さん。林道走行は初めてだが「楽しい!」と大喜び。その姿を見て河野さんはご覧の笑顔。
かの山下清が居候していたというタイガー食堂。メニューやマッチには山下清画伯のデザインを使っているのだ。
かつて与謝野晶子が宿泊していたという『長壽館』の部屋。そんな部屋に泊まれるなんて、感激しかない。
『湯之島館』の洋館に設けられているクラブ『ムーンライト』。昭和初期の歴史ある造り。
西伊豆と言えば『なまこ壁』。その姿はだいぶ少なくなったが、まだ立派な建築物が残されているのだ。
河野さんは同行すると記憶が新鮮な内に『トラベラーズノート』に描く。下書きなしだからスゴイ!
Vol.18&19のツーリングで、河野さんが描いた旅日記の完成図。旅情が伝わってくるでしょ!
河野さんとYカメが惚れている(!?)泡の湯の若女将。一番の目的はこの女性に会うことだった?
冨山ツーリングは尾上会長も同行。小川温泉元湯の露天風呂も良かったが、先方との手違いでまともな写真がない。
昭和レトロの雰囲気溢れる、群馬県・四万温泉の温泉街。近くには現存する日本最古の湯宿『積善館本館』が建っている。
はづ木の漢方薬膳会席料理で出された、ご飯ものと土瓶蒸し。初めて体験する味ばかりで驚いたが、全てもう一度食べたい!
これも漢方薬膳会席料理のひとつ、小籠包。これもやはり想像できない味だったがとっても美味しかった。
ツーリングやアウトドアレジャー好きな、Yカメこと山岡カメラマン。ツッコミ役だが、時たまとんでもない大ボケをかます。
永遠のくそガキ、筆者・内田。16年乗った三菱ジープJ57からジムニーに乗り換えるという噂が…?