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ジムニーで行く林道旅
VOL.022
~静岡県・大鍋林道他~ 前編
~静岡県・大鍋林道他~ 前編

距離こそミドルクラスなれど、1日では走りきれないほどの林道が密集。
さらに新鮮な海の幸と山の幸が味わえて、温泉も豊富。
かつての伊豆は、まさに『林道パラダイス』だった。
現在ではそのほとんどが閉鎖となったが、まだ走れる林道が残っていたのだ!

伊豆の林道は全滅していなかった!

山が低いため眺望は期待できないが、ガードレールなどの人工物は一切見当たらない。

筆者は学生の頃から伊豆が大のお気に入り。当時、東京に住む人々の海水浴場と言えば江ノ島や茅ヶ崎など神奈川県か千葉県がほとんどであった。そんな中筆者が毎年通っていたのが伊豆の『宇佐美大浜』である。今でこそ国道沿いに『宇佐美大浜』の大きな標識が立っていて道も太いが、当時は標識が小さくて道も狭いために分かりづらく、いつ行っても空いているという、まさに穴場の海水浴場であった。

またバイク・ツーリングでも足繁く通ったし、社会人になってからは伊豆に住む友人と巡り会い、ますます訪れる機会が増えた。そして20数年前、四駆に乗ってからは伊豆の林道ツーリングに夢中。まとまった休みが取れたら伊豆に行き、林道を走り、海の幸を食べ、温泉に浸かり、友人の家に泊まり、次の日は違った林道を走り、また海の幸を食べて温泉に浸かり…の繰り返し。何度訪れても飽きることはなかった。

しかし、粗大ゴミの不法投棄や路面の荒れなど、決定的な理由は定かではないが、2000年頃に伊豆全域のほとんどの林道が閉鎖…。頑丈なゲートが設置され、走ることができなくなってしまったのである。筆者もその頃は、この業界に入ったためにプライベートな時間がほとんど取れない『超』多忙な日々を過ごしており、伊豆から遠ざかってしまった。

そんなこんなで、『もう伊豆に走れる林道はない』と勝手に思い込み、林道ツーリングのメニューから外していた。ところが、愛用の地図で何気に伊豆を調べたら、まだ数本走れる林道があると判明。それを最近知り合った伊豆に住む知人に確認したら『あそこは今でも走れます!』と確かな情報をキャッチ。そこで今回は久しぶりに伊豆の林道を走ることにしたのである!

西か東か、それとも先端か!?

西伊豆には地域毎に小さな漁港がたくさんあり、そこで古くから民宿が営まれている。

そこそこの距離があって走れる林道は、天城峠の南に位置している『大鍋林道』、それと西伊豆、恋人岬の東に位置している『林道上池線』と『土肥中央林道』だ。どちらを優先するかは、宿の場所で決めることにした。なんせ、魅力的な宿が多すぎて悩むからである。

筆者:「どこに泊まろうか? 宿に温泉がなくても、日帰り温泉が至る所にあるから料理で選ぶのもイイよな〜」
Yカメ:「東か、西か? 石廊崎や弓ヶ浜でもアリだな!」
筆者:「イイ宿がたくさんあるから決めかねる。贅沢な悩みだ」

Yカメも林道ツーリングやバイク・ツーリングで伊豆には精通しており、確かな穴場や宿情報を豊富に持っている。だからふたりで、とにかく悩んだ。そして温泉、料理、居心地の良さなど、総合的に選んだのが西伊豆、雲見温泉にある民宿『彩雲 俺の家』。

西伊豆の民宿では、伊勢エビやアワビなど新鮮な海鮮料理がリーズナブルな価格で味わえるのだ!

ツーリングなどの旅好きな仲間内で『西伊豆の民宿にハズレなし!』と囁かれるほど、西伊豆の民宿はどこも豪華&リーズナブルな海鮮料理で評判が高い。『彩雲 俺の家』も然りで、さらに『とにかくご主人と奥さんの人柄が最高!』というのが選んだ理由である。温泉は別棟にあり、24時間入浴&貸切可能というのもポイントが高かった。

宿泊先が雲見温泉に決まったので、林道は1日目に『大鍋林道』、2日目に『林道上池線』と『土肥中央林道』を走ることにした。その他はいつも通り、行き当たりばったりだ! まぁ、筆者、Yカメ共に伊豆はホームゲレンデみたいなものなので、敢えて下調べする必要がないとも言えようか!?

『太郎杉』に惹かれてトライ!

樹齢400年を誇る太郎杉。周囲の杉とは明らかに太さが違う。一見の価値あり!

東名高速・沼津ICで降り、伊豆縦貫自動車道&修善寺道路を走って『浄蓮の滝』に到着。以前は沼津ICを降りてから交通量の多い下道を走るために面倒だったが、有料道路のお陰で中伊豆がかなり近くなった。これは嬉しいことである。

甘いモノ好きなYカメに誘われて、名物のアイスクリームを食べながらひと休み。ついでに林道の入り口を確認しようと地図を開いたところ、現在地から3kmほど南下した所にある『滑沢林道』が閉鎖されていないことが判明!

筆者:「2kmちょいと短いピストン林道だけど行ってみるか! ってか、この林道知らなかったわ」
Yカメ:「滑沢林道? オレも初めて聞いた名前のような…?」
筆者:「おっ、Yカメも走ったことないのか? 珍しいな〜」

どうやら2kmと短いため、以前は気に留めていなかったようだ。ふたりとも全く眼中になかった林道である。なんせここから何かすれば、魅力的な林道が多数あったのだから…。

Yカメ:「名前からして沢沿いだな。まぁ、イイ絵取りは期待できないだろうな(笑)」
筆者:「なんせ距離が短いからな〜。でも『太郎杉』が気になる。ジムニーと絡めた写真が1点でもあれば良しということで!」

手持ちの地図には林道の終点に『太郎杉』と記されている。見られるか分からないが、ダメ元で行くことにしたところ…この林道が想像を遥かに超える優良ルートだったのだ!

約2kmに伊豆林道の特徴が凝縮!

滑沢林道は様々な表情を見せる。距離も短く走りやすいので、ビギナーには最適と言えよう。

滑沢林道のアプローチは国道414号線からで、その分岐はすぐに分かった。国道414号は主要道路のため平日でも交通量は多いが、我々の後に付いてくるクルマはゼロ。そして少し走るとすぐにダートの始まり。十数年ぶりの伊豆の林道だ! 筆者とYカメの心が躍る。

滑沢林道は、その名の示す通り、沢沿いを走るルート。沢は左側を流れ、そこそこ高低差があるためドライバーからは見えにくい。それでもガードレースが設置されていないから気分は良好! やはり自然の姿そのままの林道は感動がひと味違う。

『そうそう、これこれ!』と感じたのが、路面の固さ。今回は(も?)、YカメのJA11が不調のためにAPIO号(シエラ)を借りたが、コイル・リジッドでも凸凹を走るとかなりガツガツとくる。伊豆の山は総じて岩山が多いため、路面が硬いのだ。そしてむき出しになった山肌は岩のためか、コンクリートで固められていない。狭い道でもガードレールを備えず、またよほどのことが無い限り舗装化しない自然そのものの姿は、伊豆林道の特徴である。やっぱり伊豆は良いな〜。

地図に記載されていた通り、入り口から約2kmの所に『太郎杉』が立っていた。なんと樹齢400年を誇る、天城山最大の杉なのだとか。近くまで行けるように階段が設置されていたので、観光スポットとなっているようだ。筆者とYカメは伊豆には詳しいハズだったが、まだまだ甘かった…。この林道もそうだ。ふたりして未走行だったのだから恥ずかしい。

それにしても、この滑沢林道は素晴らしい。他にも滝を望めたり(周囲に遊歩道あり!)、川に降りられたり(注・クルマは無理)、2kmという短い距離だが、大自然と触れ合うことができる。いつまでも閉鎖されないことを切に願う。

多くが岩山のため、路面がハードなのが伊豆の林道の特徴。コイルリジッドで良かった〜(笑)。