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16.09.30

【Vol.42】 ポーカーフェイス~ROYAL FLUSH DINER [千葉・西千葉]

オーナーは元バイクの整備士という千葉大学正門前のコッテコテのアメリカン!
大盛&学生値段で今日も奮闘中!

さぁ、定例のパトロールの時間である。いつもAPIO(アピオ)ジムニーコンプリートカーTS7「ハンバーガー号」で、都内を中心に主に首都圏を回っている。


街乗りジムニーのまさに醍醐味のような任務なのだが、いざパトロールしてみると、「こちら異常なし」と本部に伝えるのが毎度で、事件に出くわすことなど滅多にない。何者かにハンバーガー号が操られて、ハンドルが効かなくなったり……などというような事態に"たまには"なってもよさそうなものだが、しかし"たまにでも"そういうことは起きないのである。そう簡単にはドラマは生まれない。

稲毛の海岸から

この日も千葉県の市川から船橋の辺りを流して、さて帰ろうかと思ったところが、どうも物足りない……。

 「もうちょっと回ってみませんか?」

と、ハンドルを握るGAO隊長に振ってみた。すると隊長、

 「行ってみようか。千葉市の方の雲行きがどうも怪しいね」

と意外にも乗ってきたので、これ幸い、そのまま高速へ。「湾岸習志野インターがどうも気になる」ということになり、降りてみることにした。根拠は一切ない。


稲毛の辺りを走っている。二人にとって馴染みのない土地だ。一見同じような道でも県をまたぐだけで標識やガードレールの意匠が微妙に違ったりする。それを見つけるのがこのパトロールの味わい深さ。そんな微妙な差異を探してキョロキョロするうちに、この道は常に片側が平坦で、もう片側が一段高くなっていることに気づいた。


急な高低差がある。それを埋めるべくミョウな高さを陸橋が渡っている。ヘンな地形だ……なるほど、これは海岸段丘に違いない。タモリさんが喜びそうな、いわゆる「段差」である。いま走っている平らな場所はかつては海岸だったのだ。


稲毛の海岸から陸(おか)の方へ折れると短い間にけっこうなアップダウンがあった。うねうね・ぐるぐる回るうち、やがて現れたのがこの「RFD」というド派手な看板である。

 「RFD……ウルトラ警備隊?」

それはTDF

千葉大学正門前のド派手な看板。この店は……

ROYAL FLUSH DINER(ロイヤルフラッシュダイナー、RFD)」とは何ともキレのある、押しの利いた名前だ。ロイヤルフラッシュはポーカーの役で「同一組の最高の札の5枚続き」のこと。スペードのマークの中にロゴや星条旗をあしらっていて、これがまたカッコイイ。


この辺りは学校がいくつも集まる文教地区で、かつ整備された平らで静かな住宅街である。京成千葉線・みどり台の駅前を横切る「学園通り」の突き当りが千葉大学。その正門前にRFDがある。


RFDを始める前、澤田さんは東大阪の「UKCAFE(ユーケーカフェ)」で働いていた。UKカフェは1980年創業の"西"の老舗である。澤田さんは東大阪・高井田の本店に2年勤めた。その前は店の常連客の一人だった。

バイクの整備士から

澤田さんの前職はオートバイの整備士である。無類のバイク好きで、これまでに所有したバイクの数はキャリア15年にして40台近く。将来自分でバイク屋を開こうと、某大手オートバイ販売チェーンに就職する。その最初の配属先が東大阪だった。


独立の日を夢見て研鑽を積むも、バイクの世界は日進月歩。刻々増え続ける新たな技術と情報のおびただしさに「いま勤めるような大企業ならば対応も利くが、個人の店では着いて行くのがやっと」とその困難を思い知り、UKカフェのようなカッコイイ飲食店の実現に夢を切り換えた。


これはかなりな決断である。ホームタウンの千葉ならまだしも、ここは転勤先、アウェーの大阪。会社を辞めれば支給されていた住宅手当ももらえなくなる。だから退職後、澤田さんは一文無しを経験した。


そうまで苦労して働いたUKカフェでの2年間。その得たもの全てを澤田さんは千葉大正門前のこの場所にぶち撒ける。

いま在る場所は前は携帯ショップで、居抜きでなく、しかも家賃も安くはなかったが、「ここしかない」と決断。奥さんと二人で不要な設備の撤去からペンキ塗り、大工と電機屋がやる以外のあらゆる作業を自分たちでこなした。急遽設計の勉強もした。


その成果がご覧の通り。28坪に39席、UK譲りのド派手な店構え。工事の際に抜いてもらった高天井が気持ちよい店内は、コカ・コーラミュージアムかと言うほどに赤また赤。外の自販機までコカ・コーラに変えてもらったという徹しようだ。


ところがいざ開けてみるとまるで受けない。最初の1年は苦労した。その結果、「UKカフェのスタイルをただ持って来ただけで受け入れてもらえるワケがない」「もっと街や地域の特色に合わせよう」と意識を切り換えたところ、これが奏功してようやく軌道に乗りだした。

かっこいいカフェテリア

客層は学生が9割。大学の目の前なのでとにかく多い。よく食べる。そして金は無い。だからランチは「チーズオムライス」600円、「温玉チリミートTACO」680円など、出血を超えて"出涙"モノの大サービス。男子学生はことごとく「ライス大盛り」で注文するものだから、炊飯機は「22合」という社食・学食クラスのものが2台、さらに保温ジャーが1台。それでも足りないという。なお米は全て千葉県産。


ハンバーガーは全部で8品。最もプレーンな「クラシックス」が800円とこれも安い。写真は「ダブルチーズバーガー」1,250円。パティ2枚のチーズ2枚。パティはオージービーフ100%・130g。2枚なので260g。260gものビーフがたったの1,250円で食べられるとは、破格も破格! 食べ得である。RFD利用の際はぜひともパティはダブルで。


地元のパン屋が作るふかっと甘味のある昔懐かしのバンズに、白いチーズはゴーダ。スライスしたオニオンはアーリーレッド。トマト。レタス。そしてマクドナルドに味のよく似たピクルスが乗る。しっかりとした噛みごたえの2枚のパティを2枚のゴーダが独特の塩気で包む。時折ピリッと利くコショウがアクセント。澤田さんのサービス精神のまさに結晶、学生街の"ドカメシ"バーガーだ。

学生でない残る1割の客には「濃い」人が多い。ハーレー乗りなどからはツーリングの中継地として愛されている。


無類のバイク好きの澤田さん。以前はきれいにフルレストアした1979年製カワサキZ500を店に置いていたが、「どうしても売って欲しい」という人が静岡からやって来て、売ってしまった。いまは原付のみ所有。クルマは96年製のシボレー・アストロ。通勤・買い出しに活躍中!


§§


という、コッテコテのアメリカンでお腹パンパンに食べた後、本部には澄ました顔して「こちら異常なし」と報告しておいた……というハンバーガーパトロールのお話。だからパトロールはやめられない! 大々満足! さぁさぁ帰りますか。

< 文と写真:松原好秀 写真:GAO NISHIKAWA >

ROYAL FLUSH DINER [千葉・西千葉]

所在地: 千葉県千葉市稲毛区弥生町4-3
アクセス: 東関東自動車道・湾岸習志野ICより国道357号線16分
駐車場: 近隣にコインPあり
TEL: 043-254-3399
URL: http://royalflushdiner.com/
オープン: 2013年1月20日
営業時間: 11:00~23:00(LO22:30)
定休日: 不定休(要確認)

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