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ON THE STREET BURGER
VOL.002
東京の粋、ニューヨークの粋 ~ MARTINIBURGER [東京・神楽坂]
東京の粋、ニューヨークの粋 ~ MARTINIBURGER [東京・神楽坂]

江戸時代に始まる花街の粋を今も残す街・神楽坂。
その外れにある、生粋のNew Yokerが始めた粋なbar & grill。
New Yokerの手にかかるとハンバーガーはかくも粋になる――。

同乗異夢

毘沙門天前のジムニー

前回に続き都内――今日は神楽坂へ。


車を運転しない身としては、普段電車と徒歩で行く都内のアノ場所・コノ通りを「自動車で走り抜ける」というのは、実はそれだけでなかなか興奮することなのである。特に首都高など走るたびワクワクする。ハンドルを握っている人のソレとはまた違う喜びを、隣席に座って感じていることになるのだろう。フロントガラス越しに見えるのは、運転席と助手席ではまるで別の風景……これぞ同"乗"異夢。


この日は神楽坂――江戸の昔より続く古い界隈である。花街でもあった。石畳の小路や料亭も未だ残っているが、さすがのジムニーでもそこまでは入り込めない。

毘沙門天前にて

神楽坂通りから渡邊坂へ

平成の現在においても昼より夜のイメージの方が圧倒的に強い街である。


夜の神楽坂通りを走っているのはまず9割がタクシー。残りは配達などのトラック。自家用車が走っているとすれば、これ見よがしの外国車だろう。そんな通りをまさかジムニーで走れるなんて……首都高に勝るとも劣らぬ興奮を覚えるとともに、ジムニーで走ると「一体どんな目で見られるんだろう?」という点は、少し想像し難くも思った。


運転手であるオンザロード編集・鈴木洋一さん("監督"と呼ばれている)の提案で、坂の途中の毘沙門天の前で撮影することにした。


首尾よく門前に乗り付けて、銘々カメラを手に車を離れ、思い思いにシャッターを切っているうち、ふと気が付いたことがある……道行く人が皆、ジムニーを気にして視線を送ったり振り返ったりしているのだ。ほぉ、そんなにめずらしいか……。


とりわけ「かわいいッ!」と言って通り過ぎた若い女性の声を私は聞き逃さなかった。なるほど、「放置」というのもあながち悪いマーケティングでは無さそうだ。なにしろ街中にポンと置いておくだけで、これだけ注目されるのだから。置いておくと言ったって、ほんの4~5分の間である。もう少し放っていたら、写メぐらい撮られていたかも知れない。


しかしまさか「かわいいッ!」とまで言ってもらえるとは思ってもみなかった。そうなると、こんな地味な色のジムニーで繰り出したことが悔やまれる。何かもっとシティボーイっぽい、垢抜けた色のに乗って来るんだった……これが今回の取材唯一の反省点である。

Native New Yoker

店の前で

目的の店「MARTINIBURGER(マティーニバーガー)」は神楽坂を上り切り、江戸川橋の方へやや下った、「渡邊坂」という坂の途中にある。


店主Eliot Bergman(エリオット・バーグマン)さんはNYでグラフィックデザイナーをしていた。金曜の晩、ひと仕事終えた後は、友人と落ち合い馴染みのバーへ。そしていつもの席でおいしいマティーニと共に好物のハンバーガーを食べる……それがこの変わった名前の店、MARTINIBURGERのストーリーである。

店内

9年前、日本人の奥さんと共に東京へ移り住むまで、多くの時間をマンハッタン島の中で過ごした"Native New Yorker"である。デザイナー業を引退して、夢だった自分の店を神楽坂にオープンさせた。透明感のある独特の店構えはEliotさん自身によるデザイン。


NYでは4つ星シェフのフレンチでもハンバーガーを出すのが普通とEliotさん。ラウンジのように居心地の好い空間で、Eliotさんがこよなく愛したNYの古いバー、ホテル、格式あるレストランで出てくるようなおいしいハンバーガーとカクテルを提供したいのだ――と、"bar & grill"という自身の店のスタイルについてEliotさんは語る。

ウォッカマティーニ

エクストラドライダブルマティーニ、レモンツイスト添え

運ばれて来るハンバーガーは、まるでステーキだ。パティは200gのビッグサイズ。押し寄せるコゲのにおい。そして"牛"のにおい。米国人でないとここまで大胆には焼けないであろう、思い切った強い焼き加減。でも中はジューシー。


冒頭のハンバーガーは「Brooklyn」1,350円。肉の味を最大限に高めるマッシュルームの旨味とゴーダチーズの絶妙な塩加減。全ての味が「肉」を引き立てるという一点のために存在している。「"umami"はビーフから来るべき」とEliotさん。


「ホウレンソウのクリーム煮」や「マカロニチーズグラタン」、ポテトはローストかマッシュと、サイドディッシュもフライドポテトにとらわれない自由な発想のものばかりで彩りも華やか。

透明感のある独特の店構えはEliotさん自身によるデザイン

Eliotさん流にハンバーガーと合わせて楽しみたい「エクストラドライダブルマティーニ、レモンツイスト添え」700円は、ジンではなくウォッカを使ったウォッカマティーニである。007、ジェームズ・ボンドが愛飲するアレだ。さすがは「ドライ」で「ダブル」、思わず歯を食いしばるほどに度数が利いた、粋な大人のための一杯。


グルメな街・NYのgood tasteが味わえる、coolな都会的空間、都会的なハンバーガー。New Yokerの手にかかるとハンバーガーはかくも粋になる――。

< 文:松原好秀 写真:松原好秀、鈴木洋一 >

MARTINIBURGER [東京・神楽坂]

― shop data ―
所在地: 東京都新宿区中里町31
アクセス: 東京メトロ東西線 神楽坂駅歩5分
駐車場: 渡邊坂にパーキング・チケットあり(9~19時)
TEL: 03-6280-8920
URL: http://www.martini-burger.com/
オープン: 2010年10月15日
* 営業時間 *
火~土: 11:00~23:00(22:00LO)
日曜日: 11:00~22:00(21:00LO)
定休日: 月曜日(要確認)

夜の神楽坂はこんな感じ
毘沙門天善国寺の門前にて
「ザガットサーベイ」2013年東京版に掲載され、Eliotさんも大喜び
Salt & Pepper
自家製リコッタチーズを使った「ラザニア」1,200円。どのメニューも作り過ぎない、おだやかな味付け
期間限定「らくだバーガー」はイラン産のヒトコブラクダの肉をパティにして、モロッコ風に仕上げた珍品
コルビージャックチーズのマーブル模様が美しい「Bronx」1,350円
ハンバーガーに添えられるベアルネーズソース。肉の旨味を助けるが強い味は持たないのが特徴
食後にスイーツ、「チョコナッツ・バナナブレッド」600円。見た目に反し、味わい細やか
スウェーデン「ABSOLUT VODKA」と提携。同社新商品のキャンペーン会場などとしても利用される
店主Eliot Bergmanさん
店前にて